小さな企業が普通の技術で起こすノベーション

2017年12月12日 14:20

今回のテーマは、小さな企業が普通の技術で起こすノベーションです。それも「成熟し切った商品分野で!」です。
そのために「抽象化が大切だ」と語ってきました。何故なら、「抽象化」は他社が追従できない独自テーマを創ることができるからです。

栃木県の「ものづくりデザイン塾2017」では、コモディティー製品のテーブルタップと水筒が対象物。それが以下のような「ブレイクスルー」が起きました。

「反抗期の娘と嫌われがちなお父さんを仲良くさせるリビングテーブルタップ」
えっ、テーブルタップを使うと娘と父親が仲良くなる?聞き捨てなりませんね。

「職場の休憩時間をたちまちお気に入りカフェ空間にしてくれるタンブラー」
なになに、カフェ空間を創る水筒ってどんな機能を持っているの?

さあ、みなさんどのような「ブレイクダウン」を思い付きますか?ワクワクしませんか?このワクワク感がイノベーションを誘発するのです。少なくともホムセンターの居並ぶ「退屈なあの製品」ではないですよね(笑)?何時か機会をみて結果をご案内します。

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次は14日から始まる神戸市主催の「2017神戸ものづくりイノベーション」では、京の着倒れ、大阪の食い倒れ。神戸の履き倒れならぬ、「神戸履き楽し」がテーマです。意欲的な履物製造企業数社を核に、異業種とクリエイティブビジネスを営む参加者が結集して、熱い4回のクリエイティブ活動が繰り広げられます。今から楽しみです。

ケミカルシューズ

ここで少しだけ参加者のみなさんへの予告をします
この研修では「新しいケミカルシューズのデザイン」がゴールではありません。「ケミカルシューズがある神戸の魅力的な暮らしのデザイン」が目的です!いわゆるモノのデザインではなくコトのデザインです。シューズと言う「名詞のデザイン」ではなく、シューズを履きこなす生活の「動詞をデザイン」します。

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強く意識するのは、どなたの生活価値を上げるのか?という事前イメージです。勿論、神戸にお住まいの方でも良いでしょうし、山・坂・街・海のある神戸に来られるゲストの方もあり!です。そこからシューズに求められる「はたらき」構想して行きましょう!出会いを楽しみにしています。

抽象化効果の実験

2017年12月01日 14:16

日藝のデザインマネジメント論で次のような「抽象化効果」の実験をしました。

Aグループには、「キッチンスケールの新たなプロダクトデザインをせよ」というデザインマネジメント指示
Bグループには、「狙い通りの料理をつくるために素材の重さを知る新たなプロダクトデザインをせよ」というデザインマネジメント指示

ただし、いずれのグループも架空の会社「タモタ社」の社員で、機械式天秤はかりのデザイン担当者であることを条件に、15分でラフスケッチを描くこととしました。

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感度の良い読者はお気づきだと思います。結果は以下のようになりました。
Aグループのラフスケッチ(手慣れたスタイリングの展開を始めます)

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注)学生のスケッチをわかりやすくするために弊社で描き直しました

Bグループのラフスケッチ(新たに何かを・・・考え始めたようです)

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注)学生のスケッチをわかりやすくするために弊社で描き直しました

Aグループは、「はかり」という物財の「名詞的デザイン」で、Bグループは、料理の行程で「重さを把握し続ける」と言う行為の「動詞的デザイン」です。「抽象化」の著しい効果を知っていただける実験で、学生たちもこの二つの違いについて深く実感したようです。だから「イノベーションは抽象化から始まる!」と力説しているのです。

抽象化の面白さと奥深さ

2017年11月28日 13:51

このブログでは、イノベーションを起こすために課題=デザインの対象を「抽象化」して捉えることの重要性を述べています。つまり、「抽象化」とは課題の「本質」を見極めることに通じるからです。それ為しには、絶対にイノベーションなど起こせないのです。

「本質」の把握・・・などと言われると思わず身構えてしまいますよね。実は、その「本質」をカンタンに把握する方法が「抽象化表現」なのです。これは案外、奥深い思考が必用なのですが、コツを一つお教えしますね。

「抽象化」には二つあることを知ってください。

一つ目が、対象物が誕生した時に持って生まれた、「物財」としての「はたらき」です。これは「モノ」に装備させた「基本機能」と言ってもいいでしょうね。

例えば洗濯機が世に出たときの「物財」としての「はたらき」を抽象表現すると、こんな表現になります。

「洗濯対象物の汚れを水の撹拌によって落とす装置」

つまり洗濯機をいう「名詞」を使わずに、そのものの機能を説明する表現のことです。これはVE(価値設計)の入口で使う表現手法でもありますね。(VEについては後日お話をします)。どちらかというとエンジニアリング視点です。ここでメカの本質が見えてきて、「代替メカ案」が浮かびそうな予感がすれば、技術主導のイノベーションの入口に立っていることになりますよ!ダイソンさんみたいにね(笑)

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写真出典:http://poyoland.jugem.jp/?eid=702&guid=ON&view=mobile&tid=6

二つ目が、ユーザー視点で見て、「物財」が与えてくれるベネフィット=ご利益を抽象表現したものです。こんなふうになります。

「洗濯物を投げ込めば勝手に洗濯をしてくれて、足腰の痛みや冬の辛い水仕事からお母さんを解放してくれるお手伝いさん」

これはマーケティング視点の抽象化ですね。それも洗濯機が発売され昭和の「抽象化」です。今日の洗濯乾燥機は???さあ、どんなはたらきの抽象化ができるでしょうか?ここでも、新時代のユーザーさんに対して、「新しいお役立ち案」が浮かんでくれば、マーケティングでイノベーションが起こせますよ!今度はアップルさんみたいにね。

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写真出典:http://poyoland.jugem.jp/?eid=702&guid=ON&view=mobile&tid=6

ここで一つ大切な気付きを!
それはエンジニアリング視点のイノベーションよりも、マーケティング=ヒト視点のデザインイノベーションンの方が、小さな企業にとって仕掛け易いということです。その理由はまた次回に種明かしをして行きます。

只今、金沢に向かう「かがやき」車中。左に立山連邦、右に富山湾。冬の絶景です!

イノベーション

2017年11月24日 13:25

ずいぶん長い間ご無沙汰していました。みなさんお元気ですか?「元気な企業を創るデザイン」のブログの再開です。

今回のキーワードは「イノベーション」
この言葉はもう聞き飽きた感がありますが、このブログに相応しく、特別な技術や大きな販路をもたない、小さな企業が起こすイノベーションです。どうぞおつきあいください。

最初のご案内は、栃木県主催の「ものづくりデザイン塾」。これは現在進行中で、11月20日で2回目を迎え残すところ後2回。コモディティー商品で社会と生活を一変させるべく、参加企業さんが頑張っています。易しいイノベーション実践講座です。

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次のご案内は、これからから始まる神戸市主催の商品開発研修全4回コースです。どうぞ神戸地域でビジネスをされている方はお申し込みください。現在参加者募集中です。ご当地が誇るケミカルシューズをテーマにしたインベーションがテーマです。

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3番目のご案内は、私が講師をしている日本大学藝術学部のデザインマネジメント論についてです。これも前述した社会人向けのインベーション研修と同様に、学生の学びとビジネスに一貫性を持たせるべく新たなチャレンジを始めています。

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次回から少しずつ具体的な話しに入っていきます。どうぞお楽しみに!

「神戸ものづくり塾」も残り1回

2017年03月13日 15:04

神戸ものづくり塾」も開校から第3回を終え、残り1回を残すのみとなりました。ここまで神戸に来られるゲストさんをもてなす」ことを開発目標に、4グループのバーチャルカンパニーが、想定した自社シーズを駆使して、熱心なクリエーションを行っていただきました。時には激しくチャンバラをし、時には悩み沈黙し、また思いがけない閃きにドッと湧きまし>た。3回通してもっとも気をつけて頂いたことは、<面白いアイデアが出ても出なくても、「神戸に来られるゲストさんをもてなす」という本質テーマから外れていては駄目!バスケットボールゲームのようにピポッド(軸足)をずらさない!>ことでした。(これはまた何時かお話をしたいと思います)

研修写真コラージュ

それは、それは、刺激的な日々を創ってきました。こんな会議体をそれぞれの会社に移植できたら「何と素晴らしいことか!」と思っています。


発想する組織
さて今日は、「神戸ものづくり塾」のように、活発な発想する組織とは、どのようにしたら生まれるのか?デザインマネジメント的に考えてみたいと思います。一般的には活発な会議スタイルを「ワイガヤ」と呼ぶようになりました。これは、ホンダさんが会議につけたネーミングだということはご存知の通りです。確か会議室の入り口に「脱冠入山」という看板を掲げている写真を見たような記憶があります。「身分や所属を入り口に預け一個の人間として平たく創造活動の空間に入る」ということなのでしょうね。素晴らしいルールであり、もはや企業文化です。これを実現するにはどうしたら良いか?<「3×4」クロス・デザインマネジメント>的には次のように提案していました。1990年代のことです。

ワカルデザイン67
経済産業省が提唱する「第4次産業革命」を実現するには、その根底にクリエイティビティーに溢れた人材と組織創りが必要です。「他に代替えされない差別を生み出す力」を生み出す人材や組織とは?一体どうしたら可能なのか。そろそろ日本大学藝術学部の講義がはじまるタイミングに合わせて、次回から少しずつ考えてみたいと思います。