2011年04月15日 11:33
今までの工具箱は、工具を効率よく収納する、工具箱を持ち運びしやすくする、
そのぐらいしか要求されない、と思われていました。
そのため、どうしても必要なものでなく価格の叩き合いになっていき、
市場には安い台湾製の商品か、ハイエンドの50万もするスナップオンの工具箱しかありませんでした。
どこの業界にでも当たり前のようにある話ですね。
ところがモノだけに着目して開発をしている気がつかないことなのですが、
工具箱はただ工具を収納するだけのものではなく、
作業の進行や変化に応じて工具を出し入れする、ターミナル的な役割をしています。
ロボットのように、出した工具を同じ数ミリもたがわず元に戻すような作業を
求めているわけじゃありませんしね(笑)

それと、工具を使う前後の作業を見つめてみると、
出し入れだけに着目するのでは済まないことがわかります。
・作業の内容を頭に入れて車のそばに持って行く工具を選ぶ時、
・途中で足りないものを取りに戻って、どんどん作業場所に工具が溜まる時、
・作業の終わりに手入れをしてしまう時…etc.
いろいろな事が想像できますよね。
これによって、今まではただ工具の出し入れするだけの静的=スタティックな収納庫であり、
これからは動的=ダイナミックな収納、作業を助けてくれる商品でないと
どうしても欲しくなるようなイノベーションが生まれない、と結論づけました。
馬場の著書、「ヒット!」商品開発バイブル (アスカビジネス)でも紹介している、
3X4デザインのワークシートを使って開発をスタートしました。
ダイナミック収納のアイデアを企画段階で議論し、複数のコンセプトにまとめ
複数のコンセプトをグルインなどでスクリーニングして絞り込んだ後に、
デザイン作業に入りました。
スタイリングイメージはガレージや車いじりのアイコンとなるもの、でした。
デザインの方向性として、知的でインテリジェンス性を感じるフラッシュサーフェイスボックスと、
楽しさを全面に出したエンジンをモチーフとしたデザインの2つを提示し、
結果エンジン案が選ばれました。
効率性や収納量だけを考えれば工具箱がエンジンである必要なんてまったくないんですね。
おまけに、エンジンを表現するためにダイキャストパーツを使っています。
今までのものづくりとは真逆の、重くて大きくて高価なほうへ向かっています。
でも、所有する楽しさを考えるとこういったモチーフはどうしても必要なものでした。
エンジンは車の心臓ですが、ガレージの心臓は工具箱なんですね。
これを伝えるために、経営層にプレゼンテーションする資料に、
ボンネットが開いた写真に工具箱を合成した絵を作ったりして、
エンジンをモチーフとした意味合いを訴求したことを覚えています。

色彩でもイノベーションを演出しました。
工具箱は通常赤が使われることが多く、定番カラーとなっていました。
これは維持して、シルバーを加えた2トーンカラーとしました。
(まあ声だかに言うほどでもないのですが、
色を変えるだけでも大問題になるものなんですよね 笑)
赤とシルバーというと…そう、狙ったわけではないのですが、
ウルトラマンを連想させる色となったんです。
それで、カートレースで使っている人たちから、あだ名が付くようになりました。
サッカーやゴルフ同様、カートレースも親子鷹が増えました。
子供が乗り、お父さんがコーチ&メカニックをする、
それで、EKRを持っているお父さんは「ウルトラの父」と(笑)
こういう逸話が生まれる商品開発は成功です。
ユーザーが勝手に盛り上がってくれるからです。
その他にも工具箱として基本スペックを見直しました。
工具ごとに異なる形状、取り出しやすさから考慮して、
ディープソケットレンチが立てて入れられたり、缶スプレーが入る引き出し各段の深さや、
プライヤーやニッパーなどが縦に入る引き出しの奥行き寸法など、
設定された意図があいまいだった箱の大きさが、ちゃんと説明できるものになりました。
スタイリングだけでなく、これらの基本スペックが伴わないと、
使っていてボロが出てしまいます。

それと、ホビーの楽しみや世界観を広げるべく、もう一つ秘密の構造を仕込んであります。
実はアタッチメントが取り付けられるように、サイドパネルが外れる構造になっているんです。
当初はカゴやミニテーブルを用意しましたが、まだまだ発展途上。
今後楽しみづくりをしていくはずです。
つまり、買った時点では半完成品で、車好きレベルに応じて
自分好みに仕上げていける楽しみを内包しています。
所有する喜び、基本的な性能の向上、今後への期待感と楽しみづくり。
こういう所まで企画意図が実現できると商品としての幅が広がります。
これらを3X4デザインを使って商品特徴として形に落とし込めた、と思います。
もう一回続きます(汗)
そのぐらいしか要求されない、と思われていました。
そのため、どうしても必要なものでなく価格の叩き合いになっていき、
市場には安い台湾製の商品か、ハイエンドの50万もするスナップオンの工具箱しかありませんでした。
どこの業界にでも当たり前のようにある話ですね。
ところがモノだけに着目して開発をしている気がつかないことなのですが、
工具箱はただ工具を収納するだけのものではなく、
作業の進行や変化に応じて工具を出し入れする、ターミナル的な役割をしています。
ロボットのように、出した工具を同じ数ミリもたがわず元に戻すような作業を
求めているわけじゃありませんしね(笑)

それと、工具を使う前後の作業を見つめてみると、
出し入れだけに着目するのでは済まないことがわかります。
・作業の内容を頭に入れて車のそばに持って行く工具を選ぶ時、
・途中で足りないものを取りに戻って、どんどん作業場所に工具が溜まる時、
・作業の終わりに手入れをしてしまう時…etc.
いろいろな事が想像できますよね。
これによって、今まではただ工具の出し入れするだけの静的=スタティックな収納庫であり、
これからは動的=ダイナミックな収納、作業を助けてくれる商品でないと
どうしても欲しくなるようなイノベーションが生まれない、と結論づけました。
馬場の著書、「ヒット!」商品開発バイブル (アスカビジネス)でも紹介している、
3X4デザインのワークシートを使って開発をスタートしました。
ダイナミック収納のアイデアを企画段階で議論し、複数のコンセプトにまとめ
複数のコンセプトをグルインなどでスクリーニングして絞り込んだ後に、
デザイン作業に入りました。
スタイリングイメージはガレージや車いじりのアイコンとなるもの、でした。
デザインの方向性として、知的でインテリジェンス性を感じるフラッシュサーフェイスボックスと、
楽しさを全面に出したエンジンをモチーフとしたデザインの2つを提示し、
結果エンジン案が選ばれました。
効率性や収納量だけを考えれば工具箱がエンジンである必要なんてまったくないんですね。
おまけに、エンジンを表現するためにダイキャストパーツを使っています。
今までのものづくりとは真逆の、重くて大きくて高価なほうへ向かっています。
でも、所有する楽しさを考えるとこういったモチーフはどうしても必要なものでした。
エンジンは車の心臓ですが、ガレージの心臓は工具箱なんですね。
これを伝えるために、経営層にプレゼンテーションする資料に、
ボンネットが開いた写真に工具箱を合成した絵を作ったりして、
エンジンをモチーフとした意味合いを訴求したことを覚えています。

色彩でもイノベーションを演出しました。
工具箱は通常赤が使われることが多く、定番カラーとなっていました。
これは維持して、シルバーを加えた2トーンカラーとしました。
(まあ声だかに言うほどでもないのですが、
色を変えるだけでも大問題になるものなんですよね 笑)
赤とシルバーというと…そう、狙ったわけではないのですが、
ウルトラマンを連想させる色となったんです。
それで、カートレースで使っている人たちから、あだ名が付くようになりました。
サッカーやゴルフ同様、カートレースも親子鷹が増えました。
子供が乗り、お父さんがコーチ&メカニックをする、
それで、EKRを持っているお父さんは「ウルトラの父」と(笑)
こういう逸話が生まれる商品開発は成功です。
ユーザーが勝手に盛り上がってくれるからです。
その他にも工具箱として基本スペックを見直しました。
工具ごとに異なる形状、取り出しやすさから考慮して、
ディープソケットレンチが立てて入れられたり、缶スプレーが入る引き出し各段の深さや、
プライヤーやニッパーなどが縦に入る引き出しの奥行き寸法など、
設定された意図があいまいだった箱の大きさが、ちゃんと説明できるものになりました。
スタイリングだけでなく、これらの基本スペックが伴わないと、
使っていてボロが出てしまいます。

それと、ホビーの楽しみや世界観を広げるべく、もう一つ秘密の構造を仕込んであります。
実はアタッチメントが取り付けられるように、サイドパネルが外れる構造になっているんです。
当初はカゴやミニテーブルを用意しましたが、まだまだ発展途上。
今後楽しみづくりをしていくはずです。
つまり、買った時点では半完成品で、車好きレベルに応じて
自分好みに仕上げていける楽しみを内包しています。
所有する喜び、基本的な性能の向上、今後への期待感と楽しみづくり。
こういう所まで企画意図が実現できると商品としての幅が広がります。
これらを3X4デザインを使って商品特徴として形に落とし込めた、と思います。
もう一回続きます(汗)
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