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デザイナーの特権?

2010年12月21日 08:00

僕が乗っている1948年製シボレー・フリートラインは、ボディーに3本のラインを走らせています。全体にぼってりしたボディーを、低くシャープに見せるためと、スペシャリティーのグレード感を演出するのに、実に効果的な装飾です。

DSCF0039

実はこの3本ラインは、フリートライン エアロセダンのデザインモチーフとして、デザインの重要な表現要素になっています。この処理はエクステリアだけに止まらず、インテリアでポイント的に使われています。

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初期型が1942年(昭和16年・太平小戦争開戦)ですから、デザインされたのはおそらく1940年頃(昭和14年)だと思います。その頃の日本車はダットサンが代表的な車で、そのような処理は見受けられません。

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日経トレンディー【鉄人】日本の誇るべきスポーツカー「フェアレディZ」の軌跡を振り返るより

英国車ではMGが6角形のモチーフが大切にされ、代々引き継がれていて、MGファンはそれをアイコンとして大切にしています。

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時代はグンと近代になります。
アウディーTTクーペのワンモーションスタイリングが、その後のデザイントレンドを牽引しますが、どうもフリートラインのエアロデザインとダブります。

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アウディーのTTクーペを見たのが1999年のグッドデザイン審査会場。( Audi TTクーペは1999年グッドデザイン金賞を受賞しました

Audi TT Fredo31
Photo by Philippe BOBET

僕は当時トランスポーターのデザイン審査を担当していて、実際に乗ってみるなど、細部にわたりしっかり観察してみました。そこでもフリートラインやMG同様、あるデザインモチーフが繰り返し表現されていたのを覚えています。円形のパターンが繰り返し、繰り返し、これでもかと用いられていたのです。

2004 audi tt coupe
Photo by chris_lori

米国、英国、ドイツと、半世紀以上たってもデザイナーはやることが同じです。車は大きなプロジェクトで仕上げるのもで、デザイナーの裁量権はそう大きくありませんが、車の性格訴求やスタイリングの整合性を豹変する!と言う理屈を謳って、「自分の仕事だ!」と、堂々とボディーにキャンバス代わりに表現したとしたら・・・!!!凄く贅沢な遊びですよね。

実は僕自身、自分がデザインしたプロダクトにサインをするように、スタイリングコンセプトを創り、型に刻んだ経験があるような、ないような?

皆さんも、ご自分の車や、身の回りのプロダクトを観察して、デザインの重要なデザインモチーフを探してみてください。もしかしたらデザイナーの仕込んだ遊びが発見できるかもしれません。
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コメント

  1. スタイヤー | URL | nGdA3O4A

    いつも大変お世話さまです。プロダクトデザインを長く行っていますと確かに色々と遊び心(イタズラ心??)も生まれてくることが多いですね。
    当社は医療用通信設備を製造販売しておりますが、製品の子機/親機のスピーカーグリルの開け方に少々工夫をしました。
    子機側スピーカーグリルはうさぎのシルエットに見えたり、ミッキーマウスにも見えたり、、。親機側はハートになっていたり。。。 
    入院療養されている患者さんがこのことに気がつくかどうか分かりませんが、1人でも「あれ??」と思って頂いて、多少でも気持ちがパッと明るくなってもらえれば幸いです。スタッフの方々には、親機のスピーカーグリルがハート形という事に気がついて、夜勤のつらい業務を晴々とこなしてくれたなら、、
    これらをデザイナーの遊び心と書くと現場の方々には大変に失礼かも知れませんが、とかく閉ざされ気味な医療福祉の現場に、ほんの僅かな遊び心を注入したいと願いを込めてデザインしました。
    しかしこのような気持ちを持ちながらデザイン行い、細かな心使いをし続けることが実は企業(or組織)を元気にさせるのではないかと思っております。
    夜分に長文失礼致しました。

  2. 馬場 了 | URL | -

    スタイヤーさん

    とても感動するコメントありがとうございます。さすがベテランデザイナーの実感だと思います。

    僕らは、要求されるデザイン品質を確保するという守りの仕事ぶりで終わらせずに、スタイヤーさんの言うように基本を守りつつ、使う方が気付くか気付かないは別として、優しさ、愉しさ、感動などをそっと忍ばせる「良い仕事」をすべきかと思っています。

    とかくコスト!コスト!と叫ばれる世の中だからこそ、デザイナーは人知れず「良いこと」を
    そっとデザインに忍ばせて行きましょう(笑)。

    若いデザイナーには、邪魔にならない当世流綺麗デザインで終始せず、かと言って、我を張る作品作りで止まらないで、奥ゆかしくありながら、使っていくうちに、じんわりと仕込まれていた気遣いが滲み出てくるようなデザインを開発して欲しいですね。

    それが愛機や愛車といわれるような日本プロダクトに成長するんでしょうね。大げさですがひとつのジャパンデザインの方向かも知れません。近いうちにこの辺りをテーマに考えて行きましょう。

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