--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

白洲次郎とベントレー 3

2012年08月27日 11:03

前回のつづき

日本機械学会総会にベントレーを!
秋も深まったある日の午後、日藝で講義をしていたとき辻さんからの電話です

辻さん「先生!確かベントレーをお持ちの方をご存知だと言っていましたね」

この夏、辻さんが長年かけて開発した清々しい「あずまや」で、亭主自ら打った自慢の辻蕎麦の味が蘇ってきました。その時、僕が密かに尊敬していた白洲次郎のお話を伺った折に、ベントレーの話になったのですが、まさか辻さんがベントレーを欲しくなったわけではあるまい・・。

馬場「えー、知っていますよ。欲しくなったのですか?」
辻さん「いやいや、そうではなくて、お借りできないかというご相談でしてね」

話の中身を要約すると、“山形の白洲次郎を語る会”の例会で“白洲次郎のベントレーが日本にある”との辻情報を紹介したところ、東北電力役員で日本機械学会副会長でもあるK氏から、是非!機械学会イベントにお借りしたい!という展開になったのです。やがてそのアイデアは、2008年度機械学会年次大会「機械の日」市民フォーラムで、“懐かしく・美しい機械たち”と称して、ベントレーを展示し、機械の魅力を広く市民の方々に知っていただきたいとの話になります。(外部リンクPDF)勿論、K氏が尊敬する白洲次郎の愛車であるからこそ・・・とは言わずもがなです。

雪の日の「クルマ道楽」
涌井社長の快諾を得て、埼玉県加須市のクルマ道楽ガレージに、辻さん、羽生田さん、K氏と落ち合いお邪魔したのが翌年の2月末。しかし、埼玉は時ならぬ大雪。ベントーの体験乗車に心を躍らせていた機械屋のK氏にとっては痛恨の雪だったと思います。それにしても、高額なロールスロイスが何台もガレージからはみ出ていて、雪の中に埋漏れている様は、「ナニコレ珍百景」のような奇妙な景色で、今でも鮮明に記憶しています。

kurumadoraku_snow.jpg

ケンブリッジ流ガレージ講義
涌井社長が山形から参じたゲストたちに、優しく丁寧にベントレーを解説します。機械屋であるK氏は大柄の身体を折って、子供のように眼を輝かせ聞き入ります。その姿はケンブリッジ大学の老教授が、教材を使って学生に個人講義を授けているように見えました。辻さんは敬愛してやまない社主であった白洲次郎が握ったハンドルに手を置き、何度も何度も無言で頷きます。県デザイン職の羽生田さんは、黒船に驚愕しその全貌を筆で写し取ろうとした江戸絵師の如く、鉄と真鍮が織りなす精緻な構成美をカメラに収めます。人それぞれに、自分なりに創ってきた白洲次郎像を、無機質な部品が組み合わさってできた機械と対峙しイメージを育みます。雪の日のガレージは、しんしんと冷えきっていましたが、どこか懐かしい暖かな思いが心に灯って行きます。

Old Mother Gun

ベントレーの行方
涌井社長が静かに語り始めます。

涌井さん「なぜ私の所に白洲次郎のベントレーが来たのか分かりますか?」

私は事前に簡単な事情を知っていましたが、いきさつを知らない方々はちょっと戸惑っているようでした。

涌井さん「実は・・・私が購入する前に東北電力さんが英国の所有者に購入の打診をしたのですよ」

思いがけない一言で一同は緊張します。“もし自社の初代会長が乗っていた愛車を所有することができていたら、いや、あったとしてもおかしくない。むしろあるべきだ・・・”。潜在的な願望が一瞬顕在化します。間をおいて話は続きます。

涌井さん「時を前後してトヨタさんも購入の打診をしたようですよ。しかし、今こうして私の手元にある。何故でしょう」

柔和な涌井社長の瞳がキラッと光ったような気がしました。

oden.jpg
スタッフの皆さんの手品のような手際良さで、あと言う間に“おでんパーティー”がセッティングされます。“有り難かった、美味しかった!”これはワクイ・ミュージアム流おもてなしスタイルになっています。

次回予告
大切なこととは・・・
涌井さん「英国のベントレードライバーから、『Mr ワクイ、この車こそ君が持つことが最も相応しい』と言われ、今は僕が預かっているのですよ・・・」

僕は、この言葉に秘められた真理の力強さと美しさに感動し鳥肌が立ったことを覚えています。

次回をお楽しみに。

つづく
スポンサーサイト



コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://crewdesign.blog137.fc2.com/tb.php/177-fe549d0f
    この記事へのトラックバック



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。