2012年04月19日 15:04
このシリーズも10回を迎えました。自分で書いていていささか嫌になりました(苦笑)。これを区切りに、夢のある「デザイン行方」新シリーズに入りたいと思います。今日はそのための「まとめ」をします。
年表のように振り返ってみましょう
1951年「これからはデザインの時代や」松下幸之助氏 意匠で差別化を図ることから日本のデザインが始まった。産業強化の立場でデザインを振興する
1959年Gマーク選定制度発足 モノマネ日本を払拭し良い品質の工業製品と競争力のある商品育成のために良品を褒め称える制度
1968年
GNP世界第2位の地位を獲得し高度成長路線に入る
1969年
(財)日本産業デザイン振興会設立
1975年
大阪万国博覧会「人類の進歩と調和」科学技術とデザインの一体感が人類の明るい未来を謳い上げる(僕がスズキに入った年で元気な時代でした)
1880年
以降10年ほどにわたるポストモダン時代。イタリアのデザイン集団「メンフィス」好景気に沸いた東京の建築 大手企業の生活デザイン研究が盛んになる TDNなどデザイン活動開始。AXIS詣でなどと揶揄される。企業メセナ フィランソロフィー CIブーム 浮ついた時代
徐々に始まるアメリカの反撃
1984年
ヤング・レポート 日本打倒研究が始まり技術経営(MOT)により米国の逆襲。知財と技術の組み合わせで経営するジャパンバッシングの時代
1985年
プラザ合意 円高倒産 生産工場海外移転始まる
1986年
土地高騰 バブル経済始まる 地域のデザイン団体が設立ラッシュ
1989年
平成元年 名古屋デザイン博覧会 元気なデザイン時代 海外デザイナーが稼ぎに来る
1991年
バブル経済破たんとともにデザインの諸活動が停滞、消滅以降失われた20年間 長い夏休みの始まり
2000年
10数年遅れて経済産業省と文部科学省で技術経営と知財権の研究開始
とどめを刺された感があるオープンイノベーション
2004年
バルミサーノ・レポート プロイノベーションと海外の人材育成 ジャパンパッシング「ゲームのルールを変えた者だけが勝つ」オーペプン・イノベーション時代の到来→欧米のNIEs/BRICs取り込む。韓国、台湾企業の「デザイン優先経営」の効果でGマーク取得率が上がる
2006年
経済産業省 感性価値創造イニシアティブ事業 デザイン単独事業
2008年
リーマンショック
2010年
経済産業省 クールジャパン事業 デザイン単独事業 たった14億円
2011年
もはやジャパンナッシングか?発明や技術力の優秀さがそのまま勝ちに結びつかない。魅力的な色や形(デザイン)を創っても短命で終わる。国際競争力が急激に落ちている・・・。
事業そのものをデザインする者が勝ち残る時代→そのために自社が優位になる新たなルールをつくって勝てる戦をする(欧米企業の常識)。
急所技術を抑えて自社のみでクローズするところ(インテグラル=すり合わせ技術)普及を狙ってオープンにするところ(モジュール)を決めて、国際分業でデファクトスタンダードをつくる
(+ここにデザインを連携させる(仮説)ことがジャパンオリジナルの戦略か?「つなぐ」の意味は?)
詳しく知りたい人は経済産業省「オープンイノベーション」を参照してください。
再生に向けてさあ!以下の項目をどうするか?
・商品の色形のみを問題にして差別化を創出する時代はとうの昔に終わった
→品質とコストパフォーマンスのみで勝ち残れる主戦場はアジアに行った
さあ、どうするか?
・マーケティング、マーチャンダイジングと連動し商品とサービスを連携強化しても圧倒的な効果が長続きしない
→新たな発明で新技術を添え商品化しても、あっという間に新興国に追いつかれ、あとはQ・C・Dの血みどろの戦い
さあ、どうするか?
・「デザイン優先経営」を標榜する韓国・台湾企業がブランド力をつけ、先を越された日本のデザイン活用
→最新技術を持った技術者の流出と、フルターンキーの生産設備提供で、開発力と生産力をNIEs/BRICsにプレゼントし、生産下請けと調達先としか見ない日本の製造業。まだこの国はものづくり神話の中にいる
さあ、どうするか?
つづく
年表のように振り返ってみましょう
1951年「これからはデザインの時代や」松下幸之助氏 意匠で差別化を図ることから日本のデザインが始まった。産業強化の立場でデザインを振興する
1959年Gマーク選定制度発足 モノマネ日本を払拭し良い品質の工業製品と競争力のある商品育成のために良品を褒め称える制度
1968年
GNP世界第2位の地位を獲得し高度成長路線に入る
1969年
(財)日本産業デザイン振興会設立
1975年
大阪万国博覧会「人類の進歩と調和」科学技術とデザインの一体感が人類の明るい未来を謳い上げる(僕がスズキに入った年で元気な時代でした)
1880年
以降10年ほどにわたるポストモダン時代。イタリアのデザイン集団「メンフィス」好景気に沸いた東京の建築 大手企業の生活デザイン研究が盛んになる TDNなどデザイン活動開始。AXIS詣でなどと揶揄される。企業メセナ フィランソロフィー CIブーム 浮ついた時代
徐々に始まるアメリカの反撃
1984年
ヤング・レポート 日本打倒研究が始まり技術経営(MOT)により米国の逆襲。知財と技術の組み合わせで経営するジャパンバッシングの時代
1985年
プラザ合意 円高倒産 生産工場海外移転始まる
1986年
土地高騰 バブル経済始まる 地域のデザイン団体が設立ラッシュ
1989年
平成元年 名古屋デザイン博覧会 元気なデザイン時代 海外デザイナーが稼ぎに来る
1991年
バブル経済破たんとともにデザインの諸活動が停滞、消滅以降失われた20年間 長い夏休みの始まり
2000年
10数年遅れて経済産業省と文部科学省で技術経営と知財権の研究開始
とどめを刺された感があるオープンイノベーション
2004年
バルミサーノ・レポート プロイノベーションと海外の人材育成 ジャパンパッシング「ゲームのルールを変えた者だけが勝つ」オーペプン・イノベーション時代の到来→欧米のNIEs/BRICs取り込む。韓国、台湾企業の「デザイン優先経営」の効果でGマーク取得率が上がる
2006年
経済産業省 感性価値創造イニシアティブ事業 デザイン単独事業
2008年
リーマンショック
2010年
経済産業省 クールジャパン事業 デザイン単独事業 たった14億円
2011年
もはやジャパンナッシングか?発明や技術力の優秀さがそのまま勝ちに結びつかない。魅力的な色や形(デザイン)を創っても短命で終わる。国際競争力が急激に落ちている・・・。
事業そのものをデザインする者が勝ち残る時代→そのために自社が優位になる新たなルールをつくって勝てる戦をする(欧米企業の常識)。
急所技術を抑えて自社のみでクローズするところ(インテグラル=すり合わせ技術)普及を狙ってオープンにするところ(モジュール)を決めて、国際分業でデファクトスタンダードをつくる
(+ここにデザインを連携させる(仮説)ことがジャパンオリジナルの戦略か?「つなぐ」の意味は?)
詳しく知りたい人は経済産業省「オープンイノベーション」を参照してください。
再生に向けてさあ!以下の項目をどうするか?
・商品の色形のみを問題にして差別化を創出する時代はとうの昔に終わった
→品質とコストパフォーマンスのみで勝ち残れる主戦場はアジアに行った
さあ、どうするか?
・マーケティング、マーチャンダイジングと連動し商品とサービスを連携強化しても圧倒的な効果が長続きしない
→新たな発明で新技術を添え商品化しても、あっという間に新興国に追いつかれ、あとはQ・C・Dの血みどろの戦い
さあ、どうするか?
・「デザイン優先経営」を標榜する韓国・台湾企業がブランド力をつけ、先を越された日本のデザイン活用
→最新技術を持った技術者の流出と、フルターンキーの生産設備提供で、開発力と生産力をNIEs/BRICsにプレゼントし、生産下請けと調達先としか見ない日本の製造業。まだこの国はものづくり神話の中にいる
さあ、どうするか?
つづく
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コメント
斎宮真紀夫 | URL | PkqSNJdk
ありがとうございました。
本日、先生のご講演を山形県高度技術研究開発センターでお聞きしました。
ほんとに技術よりデザインが志向されたものこそ時代に勝利できる時代なのだということを実感させて頂きました。私(63才、フリーライター、山形市在住)ももう25年以上のマックフリークですが、スティーブ・ジョブスの「僕はコンピューターを作っているんじゃない。新しい世界を作るんだよ」というメッセージは印象的です。そう、WYSIWYGっていうあれですね。私はPC98からMacに出会ったとき、「おどろき」できっと「手放せなくなる」ことに確信させられました。有機ELには今少し同じ確信が持てませんが、あまりに学術的すぎるスタンスに陥っていまいかと思います。先生の大いなる発言が新しい扉を開くことを願います。ご活躍楽しみです。また、先生のご講演を聴くことができればと思いますが、先生のご本やホームページを楽しませて頂こうと思っています。今日はほんとうにありがとうございました。
( 2012年04月20日 19:34 [Edit] )
CREW代表取締役 馬場 了 | URL | -
Re: ありがとうございました。
斎宮さま
熱のこもった賛同メールを頂戴して心から嬉しく感じています。インダストリアルデザイナー出身のコンサルタントが産業の「進化」を語るなど、予想もしていない話だったと思います。あまりにも技術信仰が行きすぎると、この国が再び敗戦を迎えるような気がしてなりません。またデザイナーも村社会から飛び出して、自らの否定になることを恐れず、多く方々の知恵を取り入れ、デザインの「進化」を推進しなければならないと考えています。今後ともよろしくご支援ください。本当にありがとうございました。
( 2012年04月23日 19:18 )
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