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デザインの行方 3

2012年04月09日 11:51

経営の神様、松下幸之助さんの言葉はやはり偉大でした。

「アメリカのデパートでは、同じラジオでもデザインを変えることで安価なものから高額なものまで、ぎょうさんあって・・・だから、これからはデザインの時代やで」

連合国の占領からサンフランシスコ講和条約を経て独立し、工業国家として再興を決意した日本は、技術にデザインを加えて売れる商品をつくり貴重な外貨を稼ごうと考えたのです。これから世界の奇跡と言われる“日本型ものづくり“に成長します。デザインがその重要な役割を果たしたことについて、改めて強調しておきたいと思います。

つまり、コストパフォーマンスに優れた高品質の製品を売り出すためには、魅力的なスタイリングを添えることが効果的で、売れる商品に仕上げたインハウスデザイナーの活躍が大であったと言うことです。まさに幸之助さんが予測した「これららはデザインの時代」の到来を、勤勉な企業内デザイナーがしっかり果たしてくれたのです。まさしく、デザインが色と形であり、付加価値であった時代でした。(これが後々、デザインと工業モデルの進化を妨げることになるのですが・・・)

<余談>いつかサンフランシスコ講和条約で吉田首相に随行した白洲次郎とベントレーの話をします。

1924 Bentley 3 Litre
白州次郎の愛車

経営の神様の呪文“デザインは色と形”はいつまで?
何と言っても幸之助さんは経営の神様で、神様のデザイン呪文はいつまでも解けません。
それ以来、企業内デザイナーたちは、企画と設計の“はざま”にいながら、ズーっと次から次に開発する製品のスタイリング開発に忙殺されます。

デザインは産業振興から生活向上へ
グッドデザイン賞の初期目標であるモノマネ脱却から、産業発展を成し得て世界第2位の経済大国の地位を占めると、1980年代から通産省の振興指針が生活者視点に変化します。生活のゆとりと豊かさを求めるデザイン振興を標榜するのです。それに呼応してデザインも、単に“製品の色と形を創作する技術”ではなく、生活そのものの質を高め豊かにすることを目標に大きく転舵します。

そのころからですね、デザイナーは企画部門の下請けから脱皮し、生活者の満足を第一義的に果すべきだと考え発言をし始めます。しかし、組織は相変わらず、競合商品に勝つことを一義的に掲げ、隣の商品よりも、“立派に見える・高性能に見える・先進的に見える”ことなどを自社デザイナーに求めます。それに対してデザインセクションが、「デザインは色や形のことではない」という象徴的な言葉で抵抗をするのです。これが、今に至る切ない幼い論議に引き継がれ、今だに意味のない論議があちらこちらで戦わされることになるのです。

このブログに、「見えないものを見る力」というものがありますので、興味のある方は参考にしてください。今年のグッドデザインでは、見えないデザインを評価することに力点を置く予定になっていますから、これも要チェックですね!僕も今から審査が楽しみです。

ある地域のグッドデザインセミナーの質問に答えて
質問
これからは目に見えない部分をデザインしていく事が大切なのはわかったのですが、目に見えない部分を追求するのなら、なぜ、色や形の目に見えるデザインがそれでも大切なのか?いまいちよくわかりませんでした。

馬場の答え
「見えない良いデザイン」は、「見える良いデザイン」にしないと、その「いい中身」が伝わりません。逆に言えば、「見えない良いデザイン」は、課題に対して独自の解釈をした独自提案になりますから、結果的に、オリジナリティーに溢れた、「見えるデザイン」に仕上げやすいのです。「見える良いデザイン」のためには、「見えない良いデザイン」が、必要なのです。(なんだか言葉遊びのようですね)

従って、「見えない良いデザイン」VS「見える良いデザイン」などと対立させ論議することは間違っていて、だからデザインは「良い色と良い形が一番大切だ」という発言は一方の真実しか見ていない幼い解釈です(笑)。

例)パソコンラックをつくろうとします

ラックにどんな機器をどれくらい納めて、どのような人が、どこで使うか?

そこには、どのような課題があって、どのようにその問題を解決するか→(テーマ)

そして、どのようなベネフィット・ご利益を差し上げるのか

ここまでの段階が、他社と異なるラックの機能や性能を設定して、ラックが人に与える独創的な効果・効能を差し上げる「働き」の計画です。←つまり、「見えないデザイン」です。このように他社と異なるオリジナルのラックの開発テーマを持たないと、“見えるだけ”の良いデザインができるレベルになった韓国・台湾に負けますと言いました。

テーマが他社と同じでは、結果的に、同じ土俵で戦う「見えるデザイン」になってしまいます。でも、そうだとしたら、人が「あっ!これって新しい働きを持った商品なんだ!」と、直感的に理解できる「見えるデザイン」になっていた方が、「見えないデザイン」意図が伝わります
だから、結果的に「見えるデザイン」が重要なんです。
逆に言えば、これからは「見えるグッドデザイン」をするために、良い企画の「見えないグッドデザイン」が必要で、それをGマークではしっかり見ますよ!と言う意味です。

見えないグッドデザイン=見えるグッドデザインです。これからのデザイナーは、見えないデザインができなければならないのです。

こんな話を30年もしていますが、デザインと言う言葉を、当時の文部省(多分)が意匠と訳したことが元凶なのでしょうね。

つづく
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