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モノを売る前に市場を創る

2012年02月01日 13:50

ヨーロッパで人気の「BONSAI」ビジネスは、単に盆栽を販売するだけではないのです。盆栽を楽しむための技術講習を積極的に開催し、とりわけ、子どもたちを将来の大切な顧客として一人前に扱い、丁寧な顧客育成を行っている姿が印象的でした。
つまり、「もの」を売る前に「こと」を整え、売れる状況を同時開発する手法です。日本も、盆栽や剪定鋏が売れない・・・と嘆く前に、市場をつくる努力をしなければなりませんね。

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想像してみてください。フランス人形のような面立ちをした小さな子供たちが、真剣なまなざしで「BONSAI」に鋏を入れている姿を!(笑)。大宮の盆栽美術館に鎮座している松は、何と樹齢400年ですから、その子が親になって、自分の息子や娘に愛しんだ自慢の「BONSAI」の手入れの手ほどきをしている姿を思うと・・・日本もしっかりしないと。日本人も「BONSAI」の良さを分かるんだね!なんて言われないようにしましょう。

Bonsai!
Photo by Carol Browne

イギリス人が自慢する鉄道模型が“king of hobby”ならば、「BONSAI」は、さしずめ“mikado of Douraku“ 帝の嗜み”ってところでしょうか(笑)。僕らは一度立ち止まって、自分たちが取り残してきた素晴らしい文化や嗜みを探してみましょう。きっと世界が望む新しい産業の芽が見つかると思います。

伝統の技と最新テクノロジーのコラボレーション
最近、世界の「BONSAI」や園芸に、大きな影響を与えるかも知れない、意欲的な商品に出合いました。僕が提唱している「つなぐ」デザインのお手本となる事例でした。

それは、 ニイガタIDSデザインコンペテション2012の審査で出合った「ガス式熱ばさみ」(株式会社 外山刃物)です。

idsbaba.jpg

画像をご覧いただいただけで、「こりゃ、何かやったな!」という印象が伝わって来ると思います。農園芸作物の摘果・選定時に起こる“病原性微生物の感染”を防ぐことを目的に開発されたもので、鍛冶(鍛造)の技で鍛えた伝統的なハサミに最新機能を仕込んだ製品です。

鋏の持ち手の一端についているのは、何とガスボンベです!持ち手の中に着火装置が内蔵されていて、ハサミの薄刃に組み込んだ発熱体(触媒燃焼装置)を加熱させ、刃を常時90℃に保った状態で、対象物を切断できる!と言う、世界初のガス式熱バサミです。

使う理由を考えさせる怪しい魅力
これで、丹精込めて育てた果実や高価な胡蝶蘭など、さまざまな感染で台無しにしてしまうことがなくなります。今まではどうしていたかと言うと、薬液の入ったタンクを担ぎ、ハサミを使うたびに作業を中断し、刃先を消毒していたんですね。重いタンクを担ぐ作業の辛さ解消はもちろん、薬液の人体や環境への悪影響も防げます。もうひとつの手は、90℃に保つための容量の大きい外部バッテリーを担ぎ、長いコードを気にしつつ捌きながら、効率の悪い作業を我慢して行っていたようです。

このハサミの熱源であるガスの供給は、みなさんが鍋料理をする時に使う、お馴染みのカセットガスコンロのガスボンベが使えるんですよ!嬉しいですね。モノ好きの僕としては、使う必要がないけれど、直感的に「欲しい!」と思いました。ですから今、使う理由を一所懸命考えています(笑)。つまり、購入を誘惑させる怪しい魅力を持った商品は、不要な人にさえ使う理由を考えさせてしまう「力」を持っているんですね。

そう言えば、数年前クルーがデザインしたKTCのEKRと言う工具箱の購入アンケート調査をしたところ、ガーデニング用に購入した。と回答された方が相当数いらっしゃいました。「ガーデニングで何で工具を???」と、思っていたんですが、これで謎が解けました。ひたすら欲しかったんですね!ありがたい!デザイナー冥利に尽きます。

ekr_austin.jpg

つづく
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コメント

  1. スタイヤー | URL | h9jd6YzI

    お世話さまです。近年の物が世の中にひしめき合う時代にはやはり 場 の創造こそがデザインそのものですね。これまでの勝利の方程式が使えないことは不安ですが、新しい方程式をデザインすれば良いだけかと思います。

  2. 馬場 了 | URL | -

    コメントありがとうございます

    モノ余りを創るのが工業化社会の目標だったようです。工業化の次の時代をなんて言うのかわかりませんが、売り場(お買い場)、使い場、遊び場を創造して「ほら、だからこれがいるでしょ!」「なるほど、売ってください!」こうなったら最高ですね。これがデザインの目標かもしれませんね。お互い使い場の達人っとなてものづくりを進めて行きましょう!

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