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2011年を終えて

2011年12月27日 15:38

今年も約80日間、日本全国を歩き回りました。
特にデザイン研修では、多くの皆様の熱意に背中を押され、挫けそうになる心を、支えていただきました。(ちょっと大袈裟ですか・・・・笑)ありがとうございました。

「発想! 発想! 発想!」今年はこの言葉に明け暮れました。

特に受講生から等しく以下の言葉をいただいたことが講師として最高の喜びでした。

・発想することの難しさと大切をいやと言うほど痛感した
・発想しているつもりでも、いつしか答えを用意していて、そこに近づける自分がいた
・オリジナリティーとかカスタマイズとかのカタカナ言葉が浮かんだら気をつけます


もっと嬉しかった・・・と言うか、やったネ!と思った言葉は、
今後上司から、「それってカスタマイズしてオリジナリティーが出せるね」って誉められたら、私の企画が陳腐なんだ・・・って」、解釈するようにします(爆)。  最高に分かってくれたと、小躍りしましたね(爆)

3×4デザインプログラム
3×4デザインプログラムはオール発想型で、研修では徹底的に発想力を引き出す手法を使いデザイン(商品企画)をしていただいているのです。
現場では・・・

・高度な教育を受け先端科学を駆使し技術開発をしている方がいました
・伝統工芸の匠の技を用い素晴らしいものづくりをされる方がいました
・生き馬の目を抜くような激戦区で商品開発に没頭される方がいました

そんな方々でさえ、否!優秀な方々こそ、最初から答えを用意して、要領よく発想手法を使ったふりをしながら、予定調和の答えを、素晴らしい因果関係で論理的にプレゼンしてくれます。

でも、ちっとも心を打ちません(笑)

大学でも、良い答えをつくって、先生や親に褒められた経験が多い子供時代を過ごした学生ほど、時間をかけ発想に集中することが不安で、最初から“まとめること”を考えて行動します。年々リテラシーを発揮して、馬鹿な発想をする学生が少なくなっているような気がしてなりません。これは日本にとって実に深刻です。
baka.jpg
少々長い文面ですが、研修の最後に以下の文章を読んで奮起を促しています。どうか来るべき年は、人間にだけ許された発想力を活かして、素晴しい明日をつくってまいりましょう。

2011年度 ○○○デザイン塾の受講生のみなさまへ

日本の産業は今、進化の階段を這い上がろうともがいています。8月3日には日立製作所が、テレビ生産から撤退を決めました。街頭テレビから始まった戦後復興のシンボルが消えて行きます。古いものづくりの一幕が下ろされ、同時に新しい幕が開きます。
あの自社の力による垂直統合路線にこだわってきたトヨタが、ディーゼルエンジンでBMWと技術提携。日本の成長をけん引してきたリーダー企業も生き残りに必死です。

研修を受講してご自身の心と頭にどのような変化が起こったでしょうか?今日は、この厄介な研修を受講されたみなさまに、敬意をこめて、次の言葉を贈りたいと思います。

「どうか隣などを気にしないで、あなたの心からの発想で新しい道を拓いてください」
それを可能にするために、あなたの心と頭を刺激し、“美しいこと、気持ちが良いこと、ワクワクすること”が発想でき、そのアイデアを確実に商品案に仕上げる姿勢と手法を伝えました。この、“美しいこと、気持ちが良いこと、ワクワクすること”を、個人として追及し続ける創造性こそ、日本の優秀な技術を使いこなす最強の知的資産です。

20世紀末“中小企業はかくあるべき”という示唆に富み、私を刺激し続けた、アップル社のメッセージを引用します。

iMacへ期待を寄せてくださる皆さまへ
・・・グローバルな時代と言われて久しいです。企業は、従来の枠組みの中で規制に守られ、グループ間での連携やトップダウンによる事業の推進といった方法で競争力を高めるだけでは、世界的な競争を乗り越えていけない段階にきています。これまでのような、横並びの競争の中で周りを見ながら走り、そこから一歩抜け出すことだけを考えていれば良かった時代は終わりました。自分のあり方を主張し、他と違う自分なりの戦い方を明確に持っていなければ戦えないということに、企業も、そして個人も気づいています。ビッグバンを迎えて大きく変化を迫られている金融業界もしかり、横並びの競争によって、独自性を失っている一部コンピュータ業界もしかりです。・・・

(引用終わり)

ブラウン管のTVは、電子銃から放出される電子ビームを、シャドーマスクを通して色蛍光体に衝突させ光を放出させますが、そのコントロールの優秀性が、日本人の誇る高度な「擦り合わせ技術」でした。それによって、世界で一番美しいテレビ受像機を創りだしてきたようです。技術革新で生み出された液晶TVは、調整不要なモジュール部品の組み合わせにより構成され、価格競争で勝る者が市場の覇者になるようになったのです。これはTVの分野だけではなく、PCはとうの昔にその時代に到達し、やがて、3万点もの部品を高度な「擦り合わせ技術」でつくり、世界をリードした日本の自動車産も、500点しかないモジュールパーツを、誰でも、何処でも、簡単に組み立てられるEVの時代に入り、生き残りに必死です。反面、中小企業は「スモールハンドレッド」グループなど、協業するビジネスモデルをつくり、意気揚々と活動を始めています。

大量に消費される商品分野の主戦場は新興国に移り、高度な「擦り合わせ技術」によってコスト高になった我が国の商品が、必要にして十分な性能に、リーズナブルな価格が付いた工業新興国の商品にとって代わられようとしています。しかし、高度な「擦り合わせ技術」は、価格が取れる商品分野にシフトし、航空宇宙、医療、スマート○○の中で、新たな商品分野を開拓し、その技術的必然性を発揮し生き残っていくのだろうと思います。また、中小企業においては、千万円の声も聞くスイスの機械式高級時計の文字盤や、三条の6万円の爪切りの中で磨かれ、やがて神話を生みだす領域で生き残っていくのかもしれません。そこに見える共通項は、ただ優秀なだけの技術で世界の覇者になれる時代は終わり、工業化社会の優秀な卒業生として、「次の時代の新しい生き方を創出しなさい」と教えてくれています。

再びアップルのメッセージを引用します。

・・・アップルコンピュータがこれまで新しい市場を創造することができた理由は、個人のイノベーティブな才能を発揮できるような企業文化があったからだと考えます。個人の能力を発揮し、その成果を評価する企業文化が、新しい市場を創造するような製品を生み出してきました。・・・「世界を変えると本当に信じたものが世界を変えてきている」ように、将来を予見し、グローバルスタンダードを先取りし・・・他の誰でもない、アップルなんだという意志を再確認し、情熱を高めてきたのです。この企業理念と情熱の結集、これがiMacの誕生をもたらしました。・・・iMacは商品を超えた、新しいコンピュータパラダイムのスタートでもあります。私たちが提案するMacintoshの世界は、個人の才能を発揮するための道具となることを最初から目指しているのです。個人をエンパワーする、個人のライフをエンリッチするために貢献していきます。
(1998年8月29日 アップルコンピュータ株式会社 代表取締役社長 原田 永幸(現 日本マクドナルド社長)のiMac発表時の挨拶から引用)

ここで触れていますように、産業の違いこそあれ、私たち日本の産業がこれから果たすべきことは、「隣のことは気にしないで、自分独自の発想力を信じ」消費者個人の生活(生産)イノベーションを、ものづくりとサービス開発で実践していくことになるのです。つまり、開発者個人が生活者個人の、”美しく、気持ちよく、ワクワクする生活(生産)”を、提案していくのです。この度の演習では、まだ拙い完成度ですが、一生懸命発想し、対象者の豊かな生活を思い描き、そこに、「もの=商品案」を添えていただきました。ですから主役は「もの」ではなく、「生活のあり方」を提案していただいたつもりです。そのあり方こそがコンセプトであり、商品の元ネタであり、企業の独自姿勢でもあります。コンセプトがオリジナリティーにあふれ、強固であれば、商品案の改善と展開は、いくらでも可能で希望が持てるはずです。

この研修では、個人のイノベーティブな発想を基軸にした「3×4」デザインプログラムを学んでいただきました。経営者の皆様には、進化を模索する受講生(社員)を受け入れ、会社自身がその成果を評価する企業文化を醸成し、”他の誰とも違う我社”であることを目指していただきたいと思います。みなさまは、今までの常識であった分析析思考を捨てて、全く新しい発想思考に入れ替えようと、限られた時間の中で懸命にもがいていただきました。講師の力量不足もあります。まだ完全に身につけたわけではなく、大きな力と権限を前にすると、たちどころに崩れてしまう儚い創造性でしかありません。そこは、まだ見ぬ経営者の理解と、強いバックアップをお願いするしかありません。

いずれにしても、時代は変わります。進化論にあるように”強いものが生き残るのではない。環境に適合するものが生き残る”、のでしょう。工業社会の環境変化に適合する企業進化を、この度の研修で商品開発=デザイン手法で、お持ち帰りいただきます。どうぞ明日からすぐに実践されることをお勧めします。

2004年 アメリカはオープン・イノベーションを提案した『パルミサーノ・レポート』で次のようにまとめています。

「ルールを変えた者だけが生き残る」
サミュエル・パルミサーノ(元IBM会長)

2011年12月27日 講師 (株)クルー代表取締役   馬場 了
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