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技術で勝ち取った本当の勝利

2011年08月25日 09:53

「あなたは社長として残るのか、それとの技術屋として残るのか、それを決めるべきだ」
「技術そのものが時代を切り開いた時代」のつづき

“どう考えたって空冷じゃ排ガスをクリアすることは無理なんだ”なのにオヤジは空冷にこだわっている・・・。
若いエンジニアたちの不満が爆発寸前だったようです。

それを察した藤沢武雄さんの一言は、宗一郎さんにとって逆に救いの一言だったのだろうと思います。理由は後述します。その言葉をきっかけにして、

「そうだな、俺は社長として残るべきなんだろうな・・・」

こう呟き、その後一切技術の相談を受けるものの、指示はされなくなったとのことです。

最先端を駆け抜けて
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浜松の片田舎に初めてやってきた自動車を追いかけて、地面にこぼれたオイルの甘い匂いを嗅ぎ、「俺は自動車をつくるんだ!」と、子供の頃に始まる技術屋の夢を実現します。みかん箱の上に立って社員に向かい、「マン島TTレースで一等賞をとって世界一になる」と、夢のような宣言をして見事に実現し、F1では、メキシコGPで日の丸をセンターポールに掲げさせ、時計のように精巧なエンジンと評される最高峰のエンジンを開発する。常に技術屋さんの先頭に立って鼓舞してきた論理と技術に、自らの意志で終止符を打つ。見事としか言いようのない鮮やかな決断でした。

人を幸せにする技術のあり方
僕が落涙しそうになったのは、「その時」宗一郎さんが感じたであろう“深い喜び”の方なのです。藤沢さんの言葉は社長業に専念する決断を促しましたが、スパナを置く決意をさせたのは別の言葉だったようです。

「子供たちに青空を残したいんです」
必死で水冷方式でなければならない!と、オヤジさんに訴えた若いエンジニアの言葉だったのです。それは決して、広告マンが創作する安っぽいキャッチコピーではありません。

自分たちの技術が汚してしまった青空を、再び自分たちの技術できれいな青空に戻したい。悲壮な思いから絞り出された使命感だったのだろうと思います。こんな思いで仕事をしたいものですね。

kccf23

そう述懐されてる肉声を聞きました。もう自分が先頭で頑張らなくても、社員は自分は自分の思想をしっかり受け継いでくれている・・・。しみじみ喜びを噛みしめながら、喜んでスパナを置かれたのでしょうね。これは「技術は人のためにある」という信念を、かたくなに守り実践してきた宗一郎さんが、技術的に敗北したのではなく、技術の勝負を通じて人を育ててきた“技術屋さんとして最高に輝かしい勝利”だったのだと思いました。
それに加えて、レースで勝ちホンダの技術を誇ることから、社会に役立つと言う、より大きな技術目標を掲げられるようになったことが、少年のころ抱いた夢を、社員がもっと膨らませてくたように思えて、とっても嬉しかったのだろうと思います。

技術で人を育てる
本田宗一郎曰く「俺は常に“技術は人のため”と言いながら、いつの間にか世界で一番になると、会社を意識してものを作ろうとしていたことに気がついたんだ。若い者は、社会を意識してものづくりをしようとしていたんだね。そのことがとても嬉しかった・・・。」

僕はこれに涙しました。こんな会社が日本にある限り、この国の産業は期待が持てる!と、少々嬉しくなった日曜日でした。その思いを強くさせてくれた、期待の持てる活動を次回ご紹介します。

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余談
当時の僕は、ライバルのホンダさんの中で、こんなことが起きていることなんて露知らず、シビック1300GLに思いをはせながら、流石に購入するわけも行かずに、フロンテクーペを下取りに出し、日産のチェリークーペX1を購入したのでした(苦笑)


2011年度グッドデザイン賞審査が、今日から始まります。デザイナーと技術者の熱い思いを目いっぱい含んだ意欲的な商品に出合います。その声を真剣に聞きだし、立派な審査をしたい!と思います。







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