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「ファン」を創る力 1

2011年01月26日 13:16

中小企業にとって大切な3つ目の力についてお話をします
それは普通のお客を「ファン」にする力です。先日は愛読者のスタイヤー様から次のようなコメントをいただきました。

「ファンにするという概念は、中小企業だけではなく、大企業にとっても必要だ!ご自身が使っている家電を、大手メーカーが何回も、無料で気持ちよく修理してくれた・・・結果、ファンになり、それ以来そのブランドの商品を購入し続けている。」

そうですね!ここに答がもうそろっています。本来は、小さな企業こそ、乏しい資金で、一度捕らえたお客を、一生涯の顧客にする必要があるのです。つまりそれがファンにするという意味です。

ファン創りのフレームワーク
前回事例で紹介したシステムの重要性を説明するために、iPodの事例を取り上げました。アップル社は売れるシステムを作るだけではなく、同時に多くの強烈なファンを獲得していることで有名です。
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Apple Inc iPod

それでは同じ事例で、ファンを創出する基本的な組み立て方を、数回にわたって探ってみましょう。そこは、ヒト、モノ、バという3つの要素で構成されています。

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ヒトの要素
そのユーザーが自分だけのミュージックライブラリーを楽しめるソフト=iTunesが備わっていて、いわば音楽を自分流に楽しめる背景=コトが用意されていた

モノの要素
iPodというグッドデザインのデジタル音楽プレーヤーがあり、さまざまなバージョンを繰り出していた

バの要素
iTunes Music Storeと言われる楽曲の販売店を開設し、好きな楽曲だけを簡単に安く手に入れられるように用意されていた

しかし!これだけに止まらず、これらシステムが相乗効果を発揮するように別の、何か?が作用しています。その何か?こそが、ただの顧客をファンに仕上げる役割を発揮するのです。

各々が動きを伝達する「ローラー」
「モノのローラー」が回転を始めました。つまり、「いいモノが出来たから買ってョ!」と、「バの要素ローラー」に売り込み、お店に並んだとします。
その商品を店先で見つけ、欲しいと思った顧客が購入します。つまり「ヒトのローラ」が回転するのです。これが従来の開発と消費の活動です。
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「いいじゃないか!何の問題もない!」と、思うかもしれません・・・でも、ここが大問題なんです。
何が問題かというと、せっかく商品を買ってもらっても、「ヒトのローラー」の動きが、「モノのローラー」に伝達されないのです。つまり、買っていただいた方の「何か」が、次のモノづくりに反映されないのです。

結果は造りっぱなし、売りっぱなし、買いっぱなし、という状況になって、いいモノを創っても売れない・・・という現状を生み出しているんですね。

さあ、次回はこの状況を変革するお話をします。

「システム」創作力 2

2011年01月24日 14:15

アップルの話でもう一段「システム」の話を深めてみます。皆さん良くご存知のiPodの事例がわかりやすいですね。
iPodは、デジタルオーディオプレーヤーのパイオニアで、グッドデザイン賞にも耀きました。
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CDプレーヤーを見慣れた僕らにとって、東芝製の1インチHDが装備された、あの薄さと小ささは衝撃的でした。背面を新潟は燕の吉田で活躍する「磨き屋シンジケート」が、鏡面に仕上げた話は、あまりにも有名です。「モノ」の素晴らしさについての話題は事欠かないのですが、それだけなら、その後続々と登場する「シリーズ」の話で終わってしまいます。日本も決してひけを取りません。

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ここで話題にしたいのは、iTunesという楽曲を編集・管理するソフトのことです。
これによりユーザーは、自分だけの音楽ライブラリーが組み込まれた、世界で唯一のiPodを手に入れることが出来るわけです。私自身も愛用していて、ちょっと他人には聴かせることが出来ない編集になっています(苦笑)。
アップルが凄いのは、そのソフトをウィンドウズにも開放していることで、これによって一気にiPodユーザーが増大したのです。これは大きな掛けのようでしたね。

さらに秀逸なのは、WEB上に楽曲のデパートiTunes Music Storeをつくり、iPodで楽しむ楽曲を販売したのです。
ココでは、アルバムのから気に入った1曲を視聴しながら購入することができます。見方によっては、あまり興味のない楽曲が抱き合わせで入っている2000円以上のアルバムを買うリスクがなく、新曲や話題曲、カラオケで歌いたい曲など、自由にリーズナブルな価格で楽曲を購入できる抜けめのない戦略です。

ituwp.jpg現在は映画やゲームまで購入する事が可能です

それらを図で表すとこんなことになります。いかがでしょうか?
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このシステムを一度作ってしまうと、「iPod」という「モノ」を核に、「iTunes」と「iTunes Music Store」が相互に補完しあって、相乗効果を発揮、自然に発展していく仕組みが出来ていくのです。
このしたたかさには参りますね。ただ技術が優れた「モノ」を創り、いくら「シリーズ」展開しても、この「システム」戦略の前には、かなわないことが良く分かると思います。

さあ、あなたが今手がけている開発テーマや既存商品に、この「システム」という戦略で再生すると、どんなことが考えられて、どんなことが起こるでしょうか?ちょっと考えてみませんか?

2つ目の力「システム」創作力 1

2011年01月17日 14:42

これは、たった一つのヒット商品で満足しないで、畑を耕し次から次へと収穫する商品と市場を創る力です。そこに「シリーズ」とは異なる「システム」という概念を持ち込んでいただくのが成功の否決です。・・・といいました。

「シリーズ」と「システム」の違い
「シリーズ」
簡単に言うと技術や市場の横展開で、異なる対象者に新たな商品を提案することだと思っています。つまりひとつのネタを表面上いじくって、いかにも新しい商品のごとく売る手法です。ひところ、同じプラットフォームで、販売店と車名を変えて似たような車を作った、GMを代表するあの手です。
そのほか、一見しただけでは見分けが付かない、液晶TVや冷蔵庫など、デザインのプロである僕さえも見分けが付かない、似たような商品があり、何を選んでいいのか迷ってしまいます。

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「システム」
技術や市場を深堀し、時には必要に応じて、異なる分野の技術や市場と連携して、同じ対象者の生活を、同一テーマで、より深める・より広げ、そのテーマの成長により、共に生活の質を向上させようとする提案だと思っています。アップルの一連の商品開発と市場創りが代表的な事例です。かなり前ですが、アップルとスノーボードのメーカーが手を組んで、スノーボーダー用に、ゲレンデでも音楽ライフを愉しませたい!と提案したのを思い出しました。

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マイコミジャーナル「アップル、新iMacを公開 iPod対応スノーボード・ジャケットBurton Ampも」

前者(シリーズ)が今まで行ってきた、多機能から単機能へ。高額な商品からリーズナブルな商品へ。対象者ごと、あるいは売り場ごとに顔つきや機能をいじって、量産効果を出す。と言うもので、これは広い販路と大量にモノを作れる企業、または成長の余地がある商品分野、消費者が「モノがありさえすれば満足」という幼さが残っていたころは、上手いやり方でした。

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ハードトップ・セダン・ワゴン・バンの4つのボディータイプがあり、更にスタンダードにデラックスやスーパーデラックス、ロイヤルサルーンなど装備に違いでグレードも細かく設定されていたトヨタ・クラウン

後者(システム)は、対象者に“売りっぱなし”という姿勢ではなくて、売った商品の進化を保障しつつ、生活者と共に成長し、一生の顧客にするためのモノづくりとコト作りを行ないます。それが即ちシステム創りです。
前述したアップルが、1998年に家庭用メディア機器として、iMacを出して、家庭での情報ハブの地位を獲得しました。それ以来、ソフトを媒体として、iPod、iPhone、iPadと、次々と一度お付き合いした顧客に対して、一生コンピュータライフを支援する活動をしています。

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Apple Inc.

そういう意味では、アップル社は総合家電メーカーになるわけではなく、アップルの洗濯乾燥機など予想できません(笑)。

中小企業は、日本の家電メーカーがお手本ではなく、アップルのような「システム戦略」を持った企業のほうが、少ない資源で効果が得られる“良いお手本”になるのだろうと思います。

今日は「シリーズ」と「システム」の違いを説明しました。次回はさらに突っ込んで考えたいと思います。

中小企業に必要な3つの力

2011年01月14日 08:00

基盤は「科学」するココロ
最初にこのブログでお話した必要な力が「科学」する力でした。これは、ものづくりの基礎体力のようなもので、経営的に言えばコアコンピタンスと言い換えることが出来ます、ダイソンは“空気の性質を科学的に知っているから、羽根のない扇風機がつくれた”という話でした。

Dyson & Sonos
Photo by Dan Taylor

職人技だけでは独創的な商品ができない!それにおぼれると帝国海軍(陸軍もそうですが)のようになってしまいます。第2の敗戦を迎えないために、科学技術というくらいに、その2つをセットにして土台を築きましょう。

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Photo by Geoff Tervet

さあ、それが整ったから次に何が必要なのでしょうか?

1番先に必要な力は「コト」を創る力
それは以前ブログで、見えないものを見る力といいました。それの力は、モノが必要となる必然性創りで、そのモノが必要となる。あるいは活躍するシーン、背景、物語のことです。それを最近ではモノに対して「コト」といっているわけです。ここまで前回お話をしました。事例として燕三条地場産業振興センターの事業で誕生した「ING DESIGN」という一連の商品郡がそれに相当します。

2番目は「システム」創作力
これは、たった一つのヒット商品で満足しないで、畑を耕し次から次へと収穫する商品と市場を創る力です。
小さな企業は一生懸命ひとつの商品を作って、そこそこヒットすると、安心しきってそれだけに頼りきりになります。または、ヒット商品の改善やバリエーションを無理やり展開し、「またか」と飽きられてしまい。「あーあの商品を作った会社ね・・・」と、過去を見るような目で捉えられてしまいます。更には、ヒットさせた人が、それにこだわって二匹目のドジョウを狙って、無駄なお金を使ってしまいます。それが社長ですと、誰も文句を言えないで、どんどん先細り状況になってしまう事例をたくさん見ています。そこに「シリーズ」とは異なる「システム」という概念を持ち込んでいただくのが成功の否決です。

3番目は「ファン」にする戦略
一度きりの顧客を永遠の顧客にし、ファンに格上げして長い間売り上げに貢献していただく力こそ、小さな企業にとって欠かせない「力」です。
それにはモノに愛着力を込めなければなりません。いわゆる、「愛車」、「愛機」、「愛○○」という商品を創る力です。誤解しないでください!作った商品の機器としての寿命を延ばすことは、耐久性など製品の品質を高めて終わり!という話ではありません。ここで言っていることは、買った商品の使用寿命を延ばし、ずうっと使い続けたくなる状況を創ることです。
そうするとまた、間違ったマーケティング概念から、商品寿命を短くして、飽きさせて、捨てさせて、新しい利益を取って行く方策と逆行する!と、意見が聞こえてきそうです。ここで言いたいのはそれとも異なります。もっと高いレベルでの顧客との関係性を言っているのです。結論は、ただのお客さんから、身内のようなファミリーに転換させるという戦略が大切だと言っているのです。

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アラジン ブルーフレーム

中小企業に必要な3つの力
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次回はいよいよ、2番目の「システム」創作力について、具体的に説明していきます。