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生産材にもINGデザインを!

2010年12月08日 09:00

設計者とのコミュニケーションでデザインの質が決まる
デザイナーは、自らの生活体験を通じて、消費財の課題や解決案を創りだすことは得意です。しかし、生産財はそうは行きません。当たり前すぎる理由ですが、“生産現場の労働者ではない”からです。

過去の経験から想像するしかないことや寡黙な作業者の欲求を発見しなければならないこと。購入決定権を持つ現場管理者の要求も理解し、作業現場の真のあり方を追求する中で、独自のデザイン課題を定義、解決する能力がないと本当に良いデザインができないのです。つまり・・・以下の仕事をこなすプロフェッショナル性です。

・働いたことのないプロの現場を理解する

・そこから独自の課題を設定する

・課題をオリジナリティーのあるデザインで解決する


しかし、それは決してデザイナー1人ではできません! 設計者との濃密なコミュニケーションがあってこそ可能なのです。僕は、デザインが大好きな設計者と組むと、本当に良い仕事ができた経験をたくさんしました。経営者は、デザイナーとがっぷり組むと、時間コストが上がることを恐れてはいけないと思います。
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生産財はデザインで能拡・性能の差をつけられる
実は、デザインにはもっと隠れたポテンシャルがあるのです。それは機器の新たな機能を拡大できる力です。
機器単独の機能・性能開発は、コストと技術の限界があり、設計と生産技術だけで、そうそう他社と大きな差をつけることは困難です。しかし、それほど大きな投資をしなくても、デザインで競合他社に差をつけることができるのです。
そのためには、“開発テーマのとらえ方を変える“ことが前提になります。つまり、戦う土俵を変えるのです。たとえば・・・モノの名称で開発テーマを表さないというのがキーワードです。先週の事例 オークス株式会社の「ING DESIGN」商品でお話をします。

洗濯機上の収納
洗濯機収納と捉えてしまうと、ただの棚になってしまい。素材、加工、価格にとらわれて競合と同じ土俵で戦うことになります。あなたの開発テーマをいつもどおりに表すと・・・

洗濯の流れを応援する収納
洗濯一連の流れを応援するために、洗濯準備から洗濯行為、洗濯ものを取り出し干す行為・・・そこまでテーマに設定すると、教護のない独自土俵が得られます。
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それをあなたの開発テーマを捉え直すと・・・?

何かピンと来ませんか?実はデザインはハード(モノ)の背景にあるソフト(コト)を考えるのが、本質なのです。そういう意味では消費財と生産財のデザインの根底は同じなのですね。結果的にデザインは、あなたが開発しようとする製品の機能・性能を拡大することになります。

生産財も「ING DESIGN」でデザインをしよう!これが提案です。

生産財にデザインはいらない?

2010年12月06日 17:38

生産財にデザインはいらない?
今まで、消費財のデザインについて事例を紹介しましたから、しばらく生産財のデザインについて話をしたいと思います。

「機能を優先すべきか?デザインを優先すべきか?」
僕がフリーランスデザイナーの世界に入ったころ、生産財メーカーは機能・性能が優れていれば十分で、デザインは飾りだという意識が大勢を占めていました。そのころには真顔で、「機能を優先すべきか?デザインを優先すべきか?」など、会議が紛糾し(僕が勤めていた会社でも、そんなことがありました(笑))。結果は大体、技術の下請け的存在のデザインが折れる(涙)そんな時代でした・・・。

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デザインで付加価値は通用しない?
生産財でも、デザインを導入した(これ自体がおかしい言い方なんですけど・・・)商品が売れると、同じ性能・性能であればデザインされている方が選ばれるという実感が一般的になるのですが、今はそのような認識も時代遅れになりました。
しかし、いまだにテレビの経済番組で、高名な経済アナリストが、ヒット商品をさして「この商品はデザインで付加価値を高めて売れた」などと発言をしています。これらは生産財のデザインに通用しない理屈です。

また、「わが国はこれから人の感性に訴えるデザインを戦略的に使うべきだ」という意見も最近耳にしますが、「モノよりコトが大切」と同じくらい、乱暴で抽象的な表現です。よほど美的感覚が鋭い経営者ならともかく、生産財をつくる社長さんが、「よし!デザインに投資しよう」と決断する力にはなりません。

消費財の現場は暮らしそのものですから、生活者の感覚で課題解決ができますが、生産財のデザインは働く現場を熟知しないと、本当に良いデザインができないんです。良いデザインをする原則をこれからお話しします。

生産財デザインは機能と性能を目一杯引き出す仕事
最初に生産財のデザインが受け持つ役割を確認しましょう。
デザインの役割は、経営者が示す商品のコンセプトの下で、設計者と共に、相乗効果が得られる設計とデザインのコンセプトを、専門家同士協調し創り上げ、目指す機能と性能を目一杯引き出す役割を果たします。そのためには、以下の能力と協力関係を創ることが欠かせないと考えます。

・機器(ハード)が使われる“現場の仕事(ソフト)”を、とことん知ろうとする意欲を持つこと

・設計者と“刺激と好影響を与え合うパートナー”としての能力を持つこと

・設計者とデザイナーが“干渉しあうくらいの立ち入った仕事”をすること

僕は経験上これが良いデザインを開発する必須条件だと思います。ですから依頼者は、デザイナーの腕を試そうとか、丸投げにして何か良い答えを出してもらおうという、お任せ姿勢では決して良い成果を得ることはできません。設計者(企業)とデザイナーの力で、相乗効果を発揮してこそ、経営が目指す目標を、美しい解決策で表現することができます。それが生産財の正しいデザイン開発スタイルです。

つづく