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「3×4」のルーツ 4

2017年01月27日 14:56

今、京都からサンダーバードに乗車し再び金沢に戻ります。午前中は京都の産業支援センターが主催する「デザインマネジメント勉強会」に参加され、見事グッドデザイン賞を取得された企業さんにお邪魔していました。デザインをどのように経営に活かしているのか?お聞きしたかったのです。「なるほど」と、大いに合点が行くお話を伺うことができて、ますますデザインが経営に果たす役割の大きさを確信しました。又いずれご案内したいと思います。キーワードは「プロセスデザイン」でした。

ここまでの「3×4」おさらい

第1世代は、デザインプロセスの開示により普及を目指した

1990年・・・これからの産業は、一人の才能が突然に美しい色と形をつくる「デザインの芸当」に頼っていては進化が期待できない。デザインは藝術ではなく、みんなが相乗りできるロジックであることが理解できないと、いつまでたってもデザイン村と揶揄される。だからこそデザイナー自ら進んでデザインのプロセスを明らかにしてこそ産業がデザインを使いこなせる。そうなるためにデザイン誰でも理解できるメソッドにした。それはデザイン以外のさまざまな知恵を受け入れる「お皿を提示」した時代だったと思います。
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第2世代は、デザインの総合性を充実しビジネス手法とした

デザインは、多くの才能とコラボレーションして、商品開発の思考と手法の基盤とならないと未来はないと思った。それが中小企業大学校でマーケティング,エンジニアリング、マーチャンダイジングの知恵と出会い、「3×4」デザインプログラムに昇華した。2000年にかけて、デザインが製造業を支える多くの才能と出会い、企業が使える商品開発手法になった時代だったと思います。


第3世代は、発想力を使ってビジネス進化を応援した

21世紀に入って、規模や数で戦う時代ではなくなったことは分かっていたのにできなかった・・・。そこに2008年、大きなショックが襲います。いやが上にも時代は大きく変わります。同じ業界のお隣など見ないで、自分なりの生き方を鮮明にする。そのためには分析は後回し、感性的アプローチで手にしたい未来を発想する。ようやくそんな時代が訪れました。そこで生まれたのが感動開発でした。


経営と密接に結びつく「3×4」

第4世代は、ビジネスプロセスとの一体化を可能にした

2016年 <「3×4」クロス・デザインマネジメント>が第4世代となります。これはビジネスのプロセスと同期して動くことを最大の特徴としました。もはやデザインとは・・・などと区別する時代は終わり、極めて自然に新しい解決案を創作するビジネスの欠くべからざる思考であり手法となりました。
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「3×4」のメソッドは時代と共に改善され、進化して行くプロセスを歩んできたことがお分かり頂けたと思います。おそらくこれからも、生活やビジネスの変化と共の、最適な可決策を発明できるように、変わり続けて行くのだろうと思います。これからも「3×4」に注目してください。

デザインメソッド

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「3×4」のルーツ 3

2017年01月26日 13:28

これからが工業デザインの出番だ!

今、金沢→京都→金沢の出張に飛び出しました。この時期の「かがやき」車中はビジネスパーソンが多く静かで仕事がはかどります。インダストリアルデザイナーとして、この国の産業を根底から支えているバリバリの製造業3社を訪問します。冬晴れの関東平野を一路、日本海側に向かっています。


かがやき


「インダストリアルデザインの時代は終った」などと、放言する言葉巧みなデザイン評論家がおられますが、現場で仕事をしたことのない誤った認識です。中小製造業には大企業と異なるデザインの解決策を待ち望む宿題が山積みになって溢れそうです。ただ、経営者もデザイナーも、それがデザインの仕事であることに気がついていないだけなのです。

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株式会社ニシムラジグ

これからが次世代の工業デザイナーが活躍する時代の幕開けです!そのためにも製造業と共有できるデザインメソッドが必要なのです。クルーがどのような次世代の工業デザインサービスとご提供しているのか?このお話も何時か文字にしてみたいと思います。


三代目「3×4」の度重なる静かな変化

この時代の「3×4」は、ステップ1の開発導入部分で「環境分析」から始まっていました。デザイナーの直感力から、何となく違和感を感じながらも、これに変わる良い手立てを発明できないまま、世の中の体勢に従って、圧倒的な独自性は生み出せないが、他社に比べて良い点数がとれる「同種優位」の答えを創るスタートに甘んじていた時代とも言えます。
しかし、ただ手をこまねいていた訳ではありません。ステップ2で仮説づくりを投入しました。これによって、例え分析から始まろうと発想をブレイクさせるパワーを「3×4」に仕込むことができました。


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仮説づくりは、明日香出版社から「絶妙な仮説をつくる技術」として出版することができて、今ではその系譜が「ノニデヲデ簡単仮説」に引き継がれ、今でも多くの開発現場で活用されています。

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分析から離れ発想へ大きく転舵した「感動開発」

ここで大きな変化が起ります。リーマンショックが起り日本の精緻なものづくりが大変革を迫られます。「3×4」も、経営コンサルの王道的手法であった、環境分析の呪縛から逃れ、自由に欲しい未来を発想する手法を開発し、エモーショナルな思考を重視した「感動開発」へ入って行きます。


感動マップ


遠くの「未来へ飛んで発想し、その未来から商品を投入する近未来を過去のように発想する」というロジックです。未来に飛んで当たりくじを買って帰る・・・あの映画のように、「そうだったら人生良いだろうなぁー」と願っているあの感覚ですね(笑)。デザインってそんな感じがとても大切なんですよね。


デロリアン


そんなことを中小企業の経営者さんと一緒に日々考え、「3×4」が、いつまでもお役に立てるメソッドであるように・・・と、現場の声をお聞きしてブラッシュアップをし続けています。これからも・・・       

もう少しつづく雪の照り返しが眩しい妙高を車窓に見ながら・・・間もなく日本海です。

「3×4」のルーツ2

2017年01月24日 19:11

クルーがデザインメソッドに拘る理由

さて、クルーがなぜ「3×4」にこれだけ情熱をかけて、拘り、改善を重ね、「みんなのデザイン」を追求するのか?ちょっと横道にそれますがお話をしてみたいと思います。それは私が自動車会社のデザイナーだったころに起因します。何所にでもある日本製造業の姿だと思います。


ジムニー


技術管理部門が企画から製造の手順(事業ではなく開発フローです)を定めます。企画は他社製品を横目で見ながら時間軸でコストをベースに製品開発計画をつくります。設計はエンジニアリングスタンダードを規定し標準化設計に邁進します。生産技術は購買と強く結びつきQCDを追求します。デザインは企画から降りてくる基本仕様をもとに、設計と擦り合わせ、生産技術上やラインの条件に配慮し駄目出しをくらいながら何とかオリジナルのカタチを模索します。


同じ棟で壁を隔てた研究開発部門が良くわからないことをやっています。さらに塀の向こうの別棟で、違う色の制服や背広を着た人が上層で絡みます。たまにお会いする経営層が何か仰います。そんなことでモデルチェンジが繰り返され製品がラインオフしていきます。売れた!売れない・・・一喜一憂します。

振り返ってみていまだに、みんなが理解し相乗りできるデザイン(事業構想)メソッドがあったのか?良く分かりません。だから、小さな企業が良いデザインをして良いビジネスをするためのメソッドを創りたかった!これが動機です。迷いのないデザインをどんどん提案しているM社は何がどう変わったのか?それを支えるメソッドを知りたいと思います。


3代目でものづくりのメソッド「3×4」が完成しました


クルーがご提案した「L・M・P」デザインメソッドが丁度2000年にヒト・モノ・バを開発3要素とする「3×4」商品開発プログラムに生まれ変わります。私が中小企業大学校の登録研修指導員だった頃に、中小企業が使える標準的な開発メソッドを創ろうという機運が芽生えたのです。それは、家具や伝統工芸産業の応援のためのカタチをつくるデザインが終焉を迎え、デザインを商品開発として企業の生産価値を向上させたいと願う社会の要請からでした。それが「3×4」デザインプログラムの原型になって行きます。

初代「3×4」オペレーションマップ
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汎用性の高い「L・M・P」デザインメソッドをベースとして、そこにマーケティングの専門家、技術士、デザイナー、中小企業診断士の知恵と経験を集結しました。これは2001年に明日香出版社の「<ヒット!>商品開発バイブル」として上梓され、現在では13刷りを重ね今でも多くの企業の商品開発手引書として愛用されています。


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みんなが使う知的資産を大切に扱うべきだと考え、デザイン会社ではおそらく初だと思いますが、無形資産である「3×4」の商標登録も行いました。製造業と同じように、デザイン会社にも自社商品がある!それは「3×4」なのです。こんな観点からも製造業の商品開発を考えて行きたいと思います。


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つづく

「3×4」のルーツ 1

2017年01月23日 15:21

昨年末から再開した「元気な企業を創るデザイン」は、新テーマである「デザインの解放」と銘打って今日で17回目を迎えました。再開の第一弾は「神戸ものづくり塾」シリーズでしたが、塾も元気に立ち上がりホッと一息ついています。今日からちょっと指向を変えて、デザインの解放の中核を為す「3×4」のルーツを辿ってみます。


「3×4」のルーツ

今日は、<「3×4」クロス・デザインマネジメント>「3×4」の源流に遡り、進化の足跡を辿ってまいりましょう。長いおつきあいのクライアントさんや、1990年代に中小企業大学校の講義を受けていただいた方々にとって、懐かしいロードマップに再会することになると思います。僕が知っている「プラレール」のロゴや、「グリコ」のトレードマークはこれだった!などと同様に、「3×4」の細かな違いを発見し、その進化のプロセスを楽しんでください。


「3×4」の原型は「L・M・P」デザインメソッド

この当時は開発要素であるヒト・モノ・バを、LMP(Life・Market・ Product)と呼び、4ステップをSTAGE4と表していました。1996年12月には、通産省の委託を受けた(財)国際デザイン交流協会のお世話でタイはバンコクに行き、国営企業の開発責任者や大学教授のみなさんに、グッドデザインの紹介と共に、弊社の「L・M・P」デザインメソッドによる開発手法のレクチャーをしました。この出来事は、言ってみれば日本からアジアへのデザイン思考と手法の輸出です(笑)


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しかし、今、またぞろこの国は、オープンイノベーションを成し遂げたアメリカのデザインシンキングを有り難く押し頂いています。複雑な想いをしています。今更ながらですが、これからの日本は、工業製品だけでなく、もっともっと自信を持って知識の輸出をすべきだと思います。そのことについてはいずれしっかり書いてみたいと思います。


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2世代目は「タイムトンネル」スタイル

20世紀末、1999年9月にはベトナムに出向き、同様の事業に加え個別企業の商品開発指導をすることになります。その時のデザインオペレーションマップは、「タイムトンネル」と呼んでいました、「タイムトンネル」とはアメリカから輸入したテレビ番組のタイトルで、これを私のご同輩は良くご存知だと思います。楕円形で渦巻きパターンのトンネルを通じて、若い二人の男性が、過去と未来を自由に行き来し問題を解決して行くSF冒険番組です。それと同じように、発想力によって時空を超え「新しい解決策を創作する」という意気込みを持ってデザインしたのです。


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当時は、開発3要素を多少気取って「L・M・P」などと定義していましたが、生活者(Life)へのご利益達成のために、市場(Market)と製品(Product)を同時に開発する思想は、現在のデザイン3要素であるヒト・モノ・バとまったく同質です。しかも、デザイン活躍の場を、開発部門の下請けに置くのではなく、ビジネス全体の領域で使えるように意図したのも、今にしてみたらとても革新的だったと思います。


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次回から、少しずつ進化して行く「3×4」オペレーションマップの進化プロセスを辿りながら、デザイン役割と時代の変化を観察して行きたいと思います。あなたに受けていただいたた研修や、開発のオペレーションマップと出会って、足跡を辿るのも興味深いと思います。お楽しみに!
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