ブランドは誰のもの?

2012年02月08日 10:40

つづき

最近、ある政府系機関からブランドづくりについてハンドブック執筆を頼まれました。最も重要な点を、機関、産地(企業・作り手)、執筆者との間で、慎重な擦り合わせを行っています。トヨタの「ハチロク」の名称を解剖すると、ブランドの中身がよくわかります。「ハチロク」は、今回トヨタさんが商標として使い始めた名称です。ブランドとして育成を目論んでいるのだろうと思います。

TOYOTA 86

・ブランドはつくれるものなのか?
→計画的につくれるが、単純にネーミングを開発し、商標として登録したからと言って、それがそのままブランドになるものではない。
カローラのラインに、レビン・トレノというスポーツバージョンがあり、そこにAE86というコードナンバーを与えられていました。トヨタは当初、「ハチロク・86」などと呼称せず、当然、商標として登録していなかった。「ハチロク」はファンのコミュニティーで呼び合っていた仇名だったのです。それを今回、トヨタが拝借したと言うのが現実です。

・ブランドがつくれるものならなら誰がつくるのか?
→勿論、商品を生産、販売する企業が開発するが、それがブランドとして認知されるかどうか?保証の限りではない。
「ハチロク・86」は熱狂的なファンが核となり、それに憧れる周辺のクルマ好きが認知し育てた。

・ブランドはどのようにしてつくるのか?
→企業のブランド開発・育成手法の中で最も重要なのが、ユーザーを巻き込んで、ユーザー自らが“自分でブランドづくりに参加している状況を用意すること“が効果的。クルーでは感動コミュニティーづくり(教導・共鳴・共創)で開発する。
「ハチロク」は、安価でシンプル、軽量コンパクトな後輪駆動車であり、走り屋達に熱烈な支持を受けました。更に連載漫画「頭文字D」がスタートした事によって一般の方にも浸透。走り屋のライフスタイルと共鳴状態をつくり、自発的にファンが「共創」していった。ここにはトヨタの意図は働いていない。

・出来あがったブランドは誰のものなのか?
→産業財産権(登録商標)としてもちろん企業にあるが、ファンがブランドを育てるという概念からすると、ブランドはお客さまのものでもあると言う解釈が、間違いのないブランドづくりと認識である。
「ハチロク」はファンが育てた“共有財産”になっている。それを企業の独断で、ファンの望まない中身に変貌させることは、顧客の期待を裏切ることになり、ブランド価値が変質する。

・どのようにブランド価値を維持し高めていくのか?
→維持管理する手法はあるが企業単独の努力では不可能である。
「ハチロク」をブランド領域まで高めたのはしてファンであり、ファンの創作物である「ハチロク」を企業が商標として借り受け、登録したのだと認識して欲しいのです。それは企業にとって願ってもないプロセスで生まれた成果物です。従って企業は、「ハチロク」の世界観を、意欲ある多様な企業に開放し協業を募り、ファンから借りた「ハチロク」を、共にブランドとして育てる機会を得たと思って頂く方が効果的だと思います。つまり「ハチロク」のブランドを「共創」しよう!と言う提案です。

TOYOTA COROLLA LEVIN AE86

ブランドは「産業界」と「生活界」の協力が必然
やっぱり、トヨタさん!「レクサス」ブランドも結構ですが、若者の車離れを防ぐのは勿論、車が大好きだった団塊世代の僕らを、もう一度引き戻すためにも、トヨタさん自身が“あの頃の熱い会社”になることが必要で、心からの期待です!

もう一度、トヨタさんはじめ、自動車各社が失った“あの頃の栄光”を取り戻すためには、一社垂直統合によるものづくりは見直して、「ハイマインド」を持った小さな企業を、下請けからパートナー企業に位置づけ協業する!そこに熱烈なファンを参加させ共創する!そんな ビジネスモデルを作って、もう一度日本を元気にしませんか!?トヨタ×スバル連合は大ウエルカム!でした。

あなた方が元気じゃないと僕らは困るんです。多少価格が高くなっても良いですから、マーケティングデータに惑わされず、本当にあなた方が欲しい新車をつくって見せてください。そうすれば、ディーラーに足を運んで真剣に見せていただきます。これが本音です。車好きが会社にいればできるはずです。いないのかなぁー・・・。

TOYOTA Publica

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ハチロクで考えるブランド・世界観の共有

2012年02月07日 13:34

OFCC主催48PRODUCTサポートの「さくらモーニングクルーズ」は、毎月第一日曜日の午前中にクルマ好きが集まって、徒然に四方山話をする会です。参加者からは、家族に愛車を乗り出す言い訳をつくってもらっている会(笑)だと言われています。詳しい内容は48PRODUCTブログでお楽しみ下さい。

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懐かしいクルマがたくさんアップされています(Flickr!)

カーミーティング会場は中古車広場?
若者のクルマ離れで新車市場の未来に暗雲が立ち込めているようです。古めの車が好きファンは、自分の愛車を使って“車のある生活”をたっぷり楽しんでいて、そのための消費意欲が衰えを見せる気配はありません。「さくらモーニングクルーズ」を主催しているOFCCは、クラシックカー愛好者の集まりですが、ここに来られる方は、年式は問わないが拘り抜いた車であることは共通です。でも高額な新車を買ったと言って自慢しに来る人は一人もいません。興味のない人から見れば中古車展示場に見えなくもありません(笑)。確かに中古車ですが、それ以外の言い方はないものでしょうか?

LOTUS SEVEN Sr.2
皆の笑顔とホビーカー

大人の自動車産業と関連産業が生まれる
とりあえずホビーカーとでも言っておきましょうか。(そのうち良い言い方を考えますね)僕等の仲間は自動車メーカーが生産する新車を、壊れない移動道具(ビークル)と見ているようです。僕自身もカーディーラーに数年足を踏み入れていません(苦笑)。こんな人たちが増えると自動車産業は一体どうなるのでしょうか?僕は結構楽観的です。
自動車メーカーは、道具として成熟した過不足ない大人の車をつくるようになる。僕等はそれを吟味し移動道具として一台所有する。ほかに拘ったホビーカーを持ち、カーライフをとことん楽しむ。それによって大人の自動車産業と、地域ごとに小さな規模のカーライフ関連産業が発生して、産業と生活が「進化」する!そこには新しいデザインとビジネスがどんどん生まれる。
ワクワクしませんか?車好き仲間を見ていると、個性的な車を中心に生活を楽しむ市場が、どんどん広がって行き、文化の域に達しながら、新しい産業を興して行くことを妄想した一日でした。

頑張れ自動車メーカー
ホビーカーには、カーメーカーの企画やデザイナーが手を出せない性質の市場です。でも、トヨタが富士重工と共同開発した「86(BRZ)」など、ようやくホビーカーにチャレンジしようとする意欲を持って活動を始めました。

TOYOTA 86
TOYOTA 86

これらに注文をつけるならば、大手メーカーが丸ごと「ハチロク」の世界を創ろうとしない“見識と謙虚さ”を持つことが、本物のホビーカージャンルとクルマ文化を創ることになると思います。その理由は、初代「ハチロク」はトヨタがつくった新車(トヨタ・カローラ・レビン(トレノ)AE86)であることは間違いないのですが、今、30~50歳代になるかつての熱狂的なファンが「ハチロク神話」を創り育てたのです。ですから、そのブランドと世界観は、トヨタさんだけの所有物ではなく、車ファン全体の資産であることに、そろそろ気がついて欲しいのです。

TOYOTA COROLLA LEVIN AE86
TOYOTA COROLLA LEVIN AE86

どこでもドアはいらない、欲しいのは「頭文字D」のガレージドアだ!
大手企業は楽しむ素材を提供する。そこに高い見識、楽しいセンス、ハイマインドを持った小さな企業がコンセプトを共有して、ハチロクファン(生活界)も巻き込み、ワールドを創作したらいかがでしょう。ドラえもんも良いのですが、若者を甘やかしすぎるきらいがあります。いっそのこと「頭文字D」の架空ガレージドアを開けると、「ハチロク」の世界一式揃う商品世界を創り、若者をワクワクさせてください!車好きの社長さん、考えてみてください。その気があれば応援しますよ(笑)。

・車をつくる前に車が欲しくなるコトを開発すること
・一社だけですべてやらない!素材を提供し多くの協業企業で世界を創ること
・初音ミクを育てたように生活界(ファン)も巻き込み「共創」する


これはスティーブ・ジョブズやインテルのやってきたことです。

つづく

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みんなデザイナーを目指せ!

2011年09月29日 14:21

ハイマインドのお師匠さんをデザイナーと呼ぼう!
「使う場の達人=遊び人=ものづくりの原則を分かっている人=(デザイナー)」
入れ替え自由です。エンジニアでもいいし、マケッターでもOK、もちろん経営者も大歓迎(本田の親父さんなんか代表格で、エンジン付きのおもちゃの使い場を熟知した人でした)、誰でもいいんです。

でも僕には一つだけ拘りがあって、そこにあてはめる人は、全て、創造性に優れた人=デザイナーと呼びたいのです!いかがでしょうか?

本田の親父さんはスーパーデザイナーでした。そうとしか言いようがありません。だってスーパーエンジニアと呼ぶには狭すぎるし、ロジックだけで評価したら他にすごい人がいるでしょう。とてもスーパー経営者でなかったし、あえて言えばチャーミングな”スーパー人たらし”でしょうね。

みんなデザイナーを目指そう
ちょっと考えれば、ヨットや自転車の開発者は「デザイナー」と呼ばれています。設計からスタイリング、果てはテストなど全部一人でやります。車で言えばコーリンチャップマンさん、スターリングモスさんなんかいい例ですね。

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そんなデザイナーがいっぱい増えれば、日本は新たな産業革命を起こせると思っていませんか。それは、ドラえもんのジャイアンのような強い国!という幼い次元の力ではなく。尊敬され、憧れを集める想像力に富んだ進化国家になるのです。すごいですね(笑)。

京都行きの新幹線車中にて、今日は若手エンジニアの開発研修です。さあ、ハイマインドのお師匠さん(デザイナー)見習士官がいるかどうか?楽しみです。

この話はもっともっと続きます

Toyota Crown Super DX

ハイマインド師匠が日本を救う!

2011年09月28日 19:58

ちょっとお暇をいただき身体を動かしながら、あれこれ考えてみました。また少しずつブログを再開します。直近のブログでこんなことを書きました。

「ハイマインド」のお師匠さんが日本を救う!
それは、ものづくりの達人+使い場の達人=お師匠さんになることじゃないかな?
つまり、日本の産業に新しい風穴を開けてくれるのは、ものづくりを分かっていて、「使い場」を徹底して知っている・・・否!「使い場」を創作できる人!その力だと思うのです。これをぼんやり大雑把に言うと=「ものづくりを起動させる知的資産」と言うことですが、あえて自己流の言葉に置き換えました。

モノづくりの主役は技術者から遊び人へ?
それは作り方を知っている人が偉かった時代の逆転現象か?と誤解されると困るのですが、それはそれで絶対日本には必要ですが、今最も緊急に必要なのは・・・

「使う場の達人」から、「つくり手の達人」にレシピを提示すること

川上(作る側)と川下(使う側)の距離が離れ、間に様々な専門職が入り込み、ものごとを整理しているようで、余計に原点を分からなくしている状況を、中抜きで両極が最短距離で話し会う。あるいは両方の能力のある人が、1人でやってしまう。これが必要で、これができる人を「ハイマインドのお師匠さん」と呼ぶことにしました。
それって消費者やユーザーからの提案もありなの?って、聞きたくなると思いますが、消費者とユーザーはそんなことに関心はありませんし、もっと受動的で、良いものが安ければ買うよ・・・としか言いません。

ですから!
■使う場の達人=遊び人=ものづくりの原則を分かっている人=デザイナーが、現場で実践を通じて発想する。これが「ハイマインド」のお師匠さんだ!と偉そうに思ったわけです。あぁー日芸の教育も考えないと…(苦笑)

ハイマインドを持ったお師匠さん

2011年09月14日 13:49

前回の最後にお話した「それは、ものづくりの達人+使い場の達人=お師匠さんになることじゃないかな?」について、このことを事例で考えてみたいと思います。

昨日は山形で「つなぐ」研究会に参加してきました。参加者は優れた工法を持って日本中で活躍する住宅メーカーさんと、山形の素晴らしい伝統技能を持った職人さんです。
そこを、県の産業を第一線で指導する公設試験場デザイン担当者が取り持って、異なる産業を「つなぐ」ことにより、新しい地域産業を創出しようと目論む、今一番この国で先導的な事業の一つだと思っています。

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ことのはじめは
住宅というモノと仏壇というモノの関係性を見直す=「つなぐ」ことからスタートしました。
「住宅も仏壇もそれぞれ勝手にものづくりをしてるよね・・・。なんとかならんの?」

それが今では・・・
暮らし(行為)と祈る・祀る(行為)をどのように「つなぐ」のか?というテーマに進化しました。そうか!主役は施主では無い一生のお付き合いが始まる「生活者」だよね!

生活者と「断絶」したものづくり
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株式会社シェルター
小出大佛本店 ~山形みらいの匠会~


【住宅デザイナー】
空間の形式と建造物の美しさにこだわりがちになります

【仏壇の職人さん】
宗派の形式と伝統様式こだわります

【生活者】
住宅に夢を持ちながら現実に妥協していく。仏壇に対しては、その時の「仕方ない消費」で購入者としての主体性をなくしていく

・・・よく考えると、現実にこんな悲しいことが起きていたんですね。

そこで、新しい職業である住宅デザイナーと、数百年の伝統を持つ仏壇職人が、生活者のために、日々の暮らしの中で祈る・祀る行為を開発するためにタッグを組むのです!

すごいことが起こりました!そのためには何が必要でしょうか?

「住宅設計施工に関わる技術と設備・仏壇を作る木工・彫刻・金具・塗りなどの技法ある有形資産」
+
「祈る・祀る生活行為を開発する無形資産」
= 
知的資産


そこで出番が!「ハイマインド」を持ったお師匠さんです。
それは、ものづくりの達人+使い場の達人=お師匠さんになることじゃないかな?

使い場=「日々の祈る・祀る凝らし」を提案してくれるお師匠さんの智恵です。こからの日本はお師匠さんが救ってくれます!ローテクでも先端産業に蘇ることができるのです!頑張りましょう。

山形から東京に戻る「つばさ」車中にて