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見えないものを見る力<知的資産型開発>-1

2011年08月18日 18:46

知的資産→知的資産型開発

ちょっとタイトルが変わりました。気が付きましたか?知的資産→知的資産型開発になったんですね。「知的資産経営」というものを、国を挙げて推進しているようです。ちょっと検索してみてください。今回「知的資産」について突っ込んで考えているうちに、あれっ!これは結局バブル経済のころ話題になった、「知識型開発」ではないか!ということを思い出しました。工業化社会から情報化社会へ、そして知識型社会へ・・・。何とも大雑把で乱暴なくくり方でした。デザイン界の中では、「もの」から「こと」などと雰囲気で語られていたころのことです。
これからは特にこの考え方が、もっと緻密に、システム的に、深まり、連携して、加速していくのだろうと思います。しばらく「知的資源型開発」について考察し行こうかと思います。お付き合いください。

余談 夏休みは「知的資源型開発三昧!」でした

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見えないものを見る力<自社の知的資産>-8

2011年08月12日 08:00

さあ、4つめの「知的資産」から再開します。生産設備を持たない僕等にとって、4つ目がとても重要でした。多くの車仲間に助けられて、ようやく商品化にこぎつけた!って感じです。

4 営業・情報収集に関する知的資産→【重要】顧客が仲間だった
・OFCC(クラシックカークラブ)と協力して「さくらモーニングクルーズ」と称する、クラシックカーミーティングを主催していて、クラシックカー仲間として一緒に遊べる状況がある。

・毎月第一日曜日に多くのスーパセブンのオーナーが集結し、ビジネスから離れ一緒に遊ぶ仲間から、バイアスのかからない公平な意見を聞くコミュニティーがある

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さくらモーニングクルーズ

・アパレル、クイックファスナーなどの先行商品に、“みんなオープンカー乗りの経験”が生かされた!面白くセンスのいいもの”と評価され、「48PRODUCTは楽しいブランド」であることが、徐々に認知されている。
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・自前のガレージが2カ所あり、いつでも来場者に装着した現物を見せることができていて、フィッティングも可能になっている。

・セブン乗りから信頼されているカーショップのオーナーの理解を得て、先行販売を手助けしてくれている。

・熱いファンが正直で応援する意見をいただくようになっている

・クルマ遊びのブログを1年半継続していて、多くのファンが楽しみに見ていて、いつでも情報をつたえられる状況が整っている。


5 特許・実用新案・意匠・商標→小さな市場で競合の参入がなく開発者がブランド
・今のところ特にない

この商品をクルーが開発した必然性、情熱、開発を支える「知的資産」を、お分かりいただけたでしょうか?
これから日本は、もっとホビー市場が広がります。でも、ここで活躍する人は、実際に「遊んでいる人」が、知的資産の発想者であり、開発適正者なんだと思います。遊び人を横から見て「どうやったら儲かるか?」なんて卑しいことを考えている会社の商品は、足元を見透かされてしまう市場なんだと思いました。気をつけましょう(笑)。

結論
モノづくりための「知的資産」はとても重要だけど、商品を一緒に育てて行ってくれる市場(48PRODUCTの場合は仲間)が最も重要

つまりその仲間たちの持っている情報、知識、ネットワーク+率直な意見!これこそが48PRODUCTの「知的資産」なんだと、この資産整理をしていて実感しました。

そんな観点から見ると、世田谷ベースの所ジョージさんなんかは、その“はしり”だったんでしょうね。彼の「知的資産」=独自の洒落感覚を活かした“ゆるいスタンス”が、当世風で頑張らない適当さとして共感を呼び、さまざまなメーカーが協賛し“ものごと”を普及している。

LAZY TOPも、セブン乗りの頑張りを時にはクールダウンさせ、たまには楽して走ろうよ!って姿勢に共感してくれる人に訴えてします。

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何せ、LAZY=怠け者ですから(笑)

【予告】
次回からは、「知的資産」の延長線上で、知的資産を活用したものづくり、「知的資産商品開発」について考えていきたいと思います。日本が技術と設備を海外に移転し、私達は何を武器にこれからの経済を戦っていくのか?その大きな戦略の要に「知的資産商品開発」がある!と思っています。

見えないものを見る力<自社の知的資産>-7

2011年08月11日 08:00

さあ、いよいよクルーの、いや「48PRODUCT」がLAZY TOPを開発するにあたっての「知的資産」公開です。

1-3

「知的資産」はクルマを遊ぶ心意気
記述するフォーマットは峯先生が、燕三条地場産振興センターで使用している「知的資産」リストアップの書式を借用します。峯先生は「知的資産」を以下の5項目で整理するように指導しています。私も研修生よろしく試してみます。

1 事業全体をカバーする知的資産
2 人的・組織的な知的資産
3 製造に関する知的資産
4 営業・情報収集に関する知的資産
5 特許・実用新案・意匠・商標

それでは一つひとつ確認していきましょう・・・

1 事業全体をカバーする知的資産→開発のオリジナル手法があった!
・『「3×4」デザインプログラム』という独自開発手法を開発しているので、当該開発をスムーズに進めるノウハウを、全社員が身につけて実践できるようになっている
・カーメーカーでのデザイン実績を活かして高速移動体部品の条件を設定できるノウハウを持ち、適正なスペックを設定できる能力を有する

・道交法に違反しないこと
・時速○○○キロで走行しても・・・なきこと
・巡航速度(○○キロ)で走行した時にばたつきなど無きこと 


などなど、たくさんありますが、ここは、クルー独自の内規を設定できているが秘匿事項(笑)なのでここから先はご容赦ください。このように「具体的に書こうね」って峯先生の指導がありました(笑)

2 人的・組織的な知的資産→その世界の遊び人だった(笑)!
・経営者は元スズキのデザイナー出身
対象となる車(ケ―ターハム・スパーセブン)のオーナーで、顧客の気持ちを共有し潜在ニーズを発想できる(自分で書くのはちょっと照れますね・・・)
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・開発責任者は2級自動車整備士
更に特殊車両の設計経験があることと、車いじりのガレージを持っていて、日常的に車遊びを実践し、それを開発に生かせる
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・デザイン担当者は、レース経験者
車両パーツデザイナーとして活動、感覚として当該商品のあり方を理解している
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・当該車両オーナーの仲間が多い
モニターによって第3者の意見を何時でも取り込み改善に生かす体制ができている
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3 製造に関する知的資産→同類の商品開発経験が豊富だった

・デザイン会社として、商品開発コンサルテーション業務のプロとして、商品デザインに関する能力と設計に関する専門的知識を持っていて、自前で全て開発する能力がある
・取引先に車両テントの製造会社あり、当該メーカーの技術・素材・設備がそのまま流用できる
参考:48PRODUCT blog 「HAND MADE IN JAPAN」

・品質テストは当該車両を所有しているので、いつでも繰り返し走行テストが実践でき、品質とデザインのブラッシュアップが可能になっている
参考:48PRODUCT blog 「決死のテストドライブ」

長くなりそうですから、この辺でひと区切りします。
また続きは明日!

見えないものを見る力<自社の知的資産>-6

2011年08月10日 08:00

「LAZY TOP(レイジ―トップ)」
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都心で開催される真夏のカーミーティングは過酷です(笑)

ケ―ターハム スーパー7のビキニトップを、そもそも、「作ろう!」と、思ったきっかけは去年の猛暑です。「暑くてたまらん!何とかしないと死んでしまう」身の安全を守ろうとする僕の爬虫類脳がそう言って、とにかく個人用の一点モノでもういいから!と思い考えはじめたのです。

有形資産があって必然、でも無い!
クルーには、全くソフト・トップを製造する資産がありません。普通、この手の商品を創るのは、自動車メーカー、社外部品メーカーは当然ながら、素材と加工について独自の技術を持っているテント屋さん、あるいはセブンを扱っている販売店などです。
理由は当然!有形の資産=素材・設備・技術を持っていて、商流もあるからですね。これがものづくりの基本です。ところが、クルーには一切そんな“ものづくりのシーズ”はありません。そのようなシーズがなければ商品をつくることができないのか?やってしまったんですね(笑)

コーリン・チャップマンの「知的資産」でできたクルマ
なぜ、シーズがないのにつくったか?それは装着する車の説明から始めないといけません。

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DennisDavid&Family「コーリン・チャップマン」より

ロータス・セブンは、1957年、レーシングドライバーで車の開発者でもあったコーリン・チャップマンの手によって開発された「半完成車」です。
コンセプトは、経済力が弱い若者が、モータースポーツを楽しむ車で、お仕着せの半完成車を、自分の懐と走るテクニック、そしてセンス=オーナーの「知的資産」を発揮して、納得する仕上げを楽しむ「余裕」を残しておいた車なんです。

それは、コーリン・チャップマンの人生そのもの「走ることの楽しみ=知的資産」を100パーセント活かしきって開発されたと思っています。この半完成品というスタンスのものづくりは、今、最先端のマーケティングですが、昔からあったんですね。

48PRODUCTのスーパー・セブンは世界で唯一のカラーリングで、さくらモーニングクルーズに集まるセブンも、1台として同じセブンはありません。だから本当の愛車になり、愛ロータス、愛ケ―ターハムになるんですね。

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スーパーセブンいろいろ写真集

半完成品のスーパー・セブンだから!できる
これがトヨタ車やメルセデスのパーツだったら絶対手を出しません(苦笑)
だって、これでもかと、先回りして、おおよそ考え付く装備や機能を盛り込んだ、200パーセント完成しつくした車に、僕らの「遊びやジョーク」が入る余地がありません。オーナーさんも車両価値が下がることを神経質に気にしています(辛いですね)。縫製が雑だとか、ボタンが外れやすいとか、大量につくってこそ、あるいは法外(失礼)な価格だからこそ、可能になるスペックを求められたら、ごめんなさい!です。

“爽快でカッコ良い、それを手作りで、それなりの値段で買えて、必要にして十分な機能”

というのがセブンのコンセプトだから、「よ―し!やってやろう」と、ものづくりのシーズがなくても、同じセブン乗りのために!“ちょっと気を抜いた楽ちんさ”を提供しようと考えました。

なかなか、本題に行きません(汗)この続きはまた明日!これから山形の「エクセレントデザイン塾」に向かいます。

見えないものを見る力<自社の知的資産>-5

2011年08月09日 08:00

「知的資産」って4文字の漢字で表すと、難しそうで権威に満ちていて、どうも自分の会社に「知的資産」なんてありそうもないな・・・なんて気になりませんか? でもね、「知的資産」なしで仕事や生活をしている人は皆無なんですよ。

コンビニの知的資産
浮遊する空間
Photo by Froschmann : かえるおとこ

例えば、コンビニの商品仕入れや商品配列なんて典型です。店員さんが、棚の在庫を確認しながら、手の平に乗る端末機器を操作し商品を発注します。片やお客様の商品を受け取った店員さんが、POSレジに、売れた商品と金額を入力し、最後にあなたの顔をチラ見して、年齢キーをたたきます(笑)。
その、発注と販売で行われているボタン操作が、世界に張り巡らされたサプライチェーンのネットワークを、猛烈な速度で稼働させ。毎日数回決められた時間に配送トラックで商品を届けさせています。そこにはコンビニエンスストアというフランチャイズビジネスをサポートする、高度で精緻な「知的資産」が存在しています。

しかし!その高度で精緻な「知的資産」を支えているのが、店員さん(バイトがほとんど)の「知的資産」なんです!

コンビニ店員の「知的資産」が世界を動かす
例えば、雨が降り出します。そうすると雨傘がそっと店先の目立つ所にしゃしゃり出てきて、少々の雨だけど「あっ・・・買っちゃおう」ってことになります。これは店員さんが、“雨が降る日に傘を入口に置くと売れ行きが上がる”という経験が、「知的資産」になり、販売活動のノウハウになるのです。

都内近郊の駅前コンビニでは、朝・昼・晩の商品構成を変え、きちんと売り上げを確保しています。

朝:都心通勤のお客が朝食のサンドイッチと野菜ジュースを買う
昼:近郊から来たバス通勤の地元企業OLさんが、口直しに甘めのヨーグルトが好む
夜:帰宅する独身者が夕食の弁当を買って帰る

これにより時間帯ごとに品ぞろえを変えること、などお店の「知的資産」になっています。

このように全国津々浦々で創意工夫されて身についた「知的資産」が、やがて大きな傾向となって把握され、巨大なコンビニチェーンの「知的資産」になり、不安と希望を持ちつつ新規開店する素人のお店を、「大丈夫!わがコンビニチェーンは本部がしっかり高度な知的資産でバックアップします。安心して開業してください!」と、なるわけです。基礎情報はお店の店員さんが積み重ねた「知的資産」でなんですよ。そう思えば「知的資産」って、身近に感じませんか?

それでは手前味噌の知的資産を!
いくら説明しても、それはデザイナーの後付け解説だろうと言われますので、自分の会社の事例で解説してみますね。

事例:「LAZY TOP(レイジ―トップ)」
ガレージライフを楽しむ「48PRODUCT」のブログ読者はお分かりだと思いますが、クルーのもう一つの仕事は、クルマいじりやガレージ遊びをお手伝いする「48PRODUCT」です。最近、スーパーセブンという車の屋根に取り付けるレイジ―トップという商品を発売しました。

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詳しくは48PRODUCT blog 「LAZY TOP 」をご覧ください。

これを事例にクルーの「知的資産」を解説してみます。