モノづくりの魂と商いの魂 番外編1

2011年07月15日 17:48

今まで4回に渡ってご紹介してきた鈴仙さん。その匠の技術はしっかりと伝承されようとしています。

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鈴仙さん一番の若手岩佐さんです。私たちが会社へ訪問すると、いつも笑顔で迎えてくれます。
昼間は通常業務をこなし、夜は鈴木社長からマンツーマンで様々な技術を教わっている最中。「毎日、家と会社の往復だけです」と充実した笑顔で話してくれました。「会社の人以外他の人と会わない・・・」なんて言いながらもアメリカや英国製のワークウェアーをさらっと着こなしている所がなんとも素敵です。
オートバイが好きで趣味で始めた革小物作り。技術的な限界を感じてプロになろうと決心して鈴仙さんへ。伝統や技術を継承しつつ、新しい可能性を提示してくれる事を楽しみにしています。

鈴仙さんとCREWのコラボレーション
CREWのもう1つの顔「48PRODUCT」で企画をしたドライブホルスターの製作で鈴仙さんに協力をしてもらっています。企画・デザインは48PRODUCTで行ない、試作を鈴仙さんで。鈴木社長の豊富な経験を頼りにパターンや製作方法を決め、実際の作業は岩佐さんが担当してくれています。

48PRODUCT blogではドライブホルスター企画側の過程をレポートしていますが、こちらではデザイン・企画側と製作側がどのように仕事を進めていくかを少し紹介していきます。

つづく

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モノづくりの魂と商いの魂 シリーズ2-4

2011年07月14日 11:46

鈴仙さんの進化は、ものづくりに新しい価値を生み出した「市場のデザイン」に秘密があります。第一回目で紹介した「クロコのステーショナリーシリーズ」を思い出して下さい。
そうです、高価で希少な爬虫類の皮革で、自分が納得するデザインの鞄やステーショナリーがつくれるシステムです。そのシステムが、優秀なものづくりの価値をさらに倍増させてくれる商いの段取り=事業構想なのです。

良いもの“だけ”をつくっても売れない
今、燕三条地場産センターが主催する商品開発事業に伺う新幹線車中でこの原稿を書いています。相変わらずの猛暑の中、企業さんも頑張って開発に没頭します。今日は開発商品で市場の優位なポジションを取る事業構想をデザインする日です。鈴仙さんの「男の書斎」成功の秘訣は、まさにこの事業構想にあり、とりわけ、お客様自らが、ものづくりに参加していただく「共創」ステージを設定したところに秘密があります。

「AKB48」は最先端マーケティング?
ちょっと話が脇道にそれるかも知れませんが、つい最近話題になった「AKB48」の総選挙が、今マーケッターの話題になっているようです。ファンがCDについている投票券を使って、自分の好きなアイドルを育てる・・・この一連の行為が素晴らしいというのですね。つまり創り手が完成させた商品ではもはや心に届かない。半完成品を使い手自身が手を染めて完成させるところにこれからの商品やサービス開発の可能性が広がる・・・と言っていました。私はこれを「共創=顧客とともにデザインして愛○○を創る」感動コミュニティーづくりのフレームワークで提唱し実践していました。

商いの魂
鈴仙さんはまさに実践者で、それをずっと前からやっていたんですね。それも電子メールと手紙で!

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お客さんが夢に見たクロコダイルの鞄(だったとしましょう)を注文したとします。その具体的完成イメージを、お客さんと爬虫類を扱わせたらトップの鈴木さんが、使うシーンや使い方、機能や仕掛け、などなど、つきない夢を現実化するために、お客と職人が遠隔で、「一点モノの開発会議」をするんです!これだけでも価値がありますね。

完成イメージが決まると・・・多分・・・前金で予算のお金を振り込まれる、そうすると、こんなパーツ取りで、今こんな段取りで取りかかりました。しばらくすると、今、本体はこのような形まで出来あがっていて、これから持ち手の部分が・・・。ここに、ちょっと拘った技を、ここに、こんなふうに加えて、これを見ればプロは唸りますよ・・・。あー!こんな楽しいことを!ここだとか、アレだとか、企業秘密ですから、具体的に伝えられないもどかしさでイライラします!(笑)などなど、折々にメールが届きます。どうですか?もうワクワクしますね。納品後は感激のお手紙をいただくことが多いようです。あなたもしも、この秘密を知りたくなったら、「クロコのステーショナリーシリーズ」の扉を開き、にこやかにお迎えする鈴木さんと、メールのやり取りを楽しみながら、あなただけに逸品をデザインしてみてください。

顧客をファンにする
この一連の行為は、以前ブログで「ファンづくりのフレームワーク」で紹介してあります。教導→共鳴→共創というプロセスで、お客をファンすることが、経営資源の乏しい中小企業が勝ち残る道です。どうかご参考にしてください。

モノづくりの魂と商いの魂 シリーズ2-3

2011年07月13日 12:00

『鈴仙』に私がすっかり惚れ込んだお話をします。それは、親しくなってから鈴仙の会社案内をデザインする仕事を依頼された時のことです。デザイン会社ならみんなそうするように、会社の沿革は勿論、鈴木社長の生い立ちや人となりをしっかりお聞きすることから始めました。CIを計画するのとまったく同じ手順です。

職人魂「リヒテルの鞄」の秘密
これには本当に驚きました!あの世界的なピアノ奏者「リヒテル」の楽譜鞄を再生したのが、日本人でそれも鈴仙だったのです。

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スヴャトスラフ・リヒテル

このお話を淡々とおごらず「やっちゃたんですよ」と、お話をされた鈴木さんに、はにかみ屋で粋な江戸っ子職人の気質を垣間見ました。
詳しい話は会社案内をご覧いただければわかりますが。ここで端折って説明します。

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左:馬場 右:鈴木社長

百年の時を超えた『鈴仙』鈴仙の心と技
世界中を飛び回る名ピアニスト「リヒテル」の傍らには、彼の分身ともいえる楽譜が収められた鞄がいつもよりそっていたのです。その鞄は、リヒテルのファンかスポンサーであったヨーロッパの貴族・・・貴族が!ですよ。彼の最高の演奏技術応えるべく、ご当地で最高の技術を誇る職人に命じ、誂えた当時最高の逸品だったのです。およそ世界一の職人でしょうね。天皇陛下御用達のようなものですよ!

しかし、いくら堅牢につくられた鞄でも、地球を何周も飛び回るうちに、くたびれてきます。彼はコンサートで訪れた国々で修理を依頼していたそうです。ただし、修理はコンサートの開園期間終了に合わせること!という条件です。それ以上に職人をビビらせたのは、世界最高の技術を駆使した職人技に、恐れをなしたことです。誰も手をだそうとしなかった・・・と言うのが事実でしょう。

さて、縁あって日本を訪れた「リヒテル」はたいした期待も抱かないで、主催者になんとかならないものだろうか?と相談したのでしょう。そこに我が鈴仙の登場です。映画のワンシーンのようですね。ここが出番!とばかり登場するのは俳優でしたら誰が相応しいでしょう?

その後の苦労の下りをお聞きすると・・・、「あーあ、男気出して受けるんじゃなかった!」というのが本音じゃなかったかな?(ただしこれは私の想像です(笑))しかし、見事、リヒテルの期待に応えたんですね。

やっぱりいいなあ―「ものづくりは!」話を聞くと文句なしに、スカッとします!ここにも「ものづくりの魂」が生きていました。

鈴仙カタログ
鈴仙カタログより一部抜粋 クリックすると大きくなります

つづく

モノづくりの魂と商いの魂 シリーズ2-2

2011年07月12日 14:13

鈴木さんとのお付き合いはかれこれ二十数年にもなります。きっかけは埼玉デザインスクールの経営者セミナーでした。一発でデザインの本筋を理解した経営者でした。

もともと、デザインスクールはデザイン担当を育成することを目的に始めたのです。
            ↓
しかし、優秀な受講生ほど会社を辞める!その理由は?
            ↓
経営者がデザインに理解がない!だったら経営者のデザインスクールをやろう!
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その後、埼玉県の事業で、デザインを経営に有効活用する=デザインマネージメントの研究会が発足、それがサイシンフォーラムに発展。現在に至っています。

このころから、デザインをものづくりの算段だけに活用するのではなく、商いの段取り=経営にこそデザインという創造行為が必要!などと、鈴木さんと意気投合して、怖いもの知らずの活動を始めたんですね(苦笑)。それから、まあ、さまざまな事業を鈴木さんは始めます。私もお手伝いをします。

「あっ!そうか」ASOKAブランドのこと
埼玉県草加市の「草加せんべい」は全国に名前が知れているのですが、実は、皮革関連産業が集積している地域でもあるのです。それをまず知ってもらわないと話にならない!ということで、職人さんと勉強会を重ねた結果、地元の皮を使い、新商品開発をして、産地をアピールしようということになります。コンセプトモデルはFUROSKIです。

ASOKA 埼玉県草加市皮革
ASOKAカタログより ASOKA ホームページへ

商標はアソカASOKAです。人が何かに気づく時!思わず「あっ!そうか」って言いますね。職人さんたちも僕らも、この事業で様々な気付きがあって、その気持ちを素直に表そう・・・とうことで、あっ草加!=ASOKAになったんです(笑)。

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つづく




モノづくりの魂と商いの魂 シリーズ2-1

2011年07月11日 11:08

埼玉県は草加市に『鈴仙』という会社があります。爬虫類の皮革を扱わせたら日本一の技術をもった会社だと私は思っています。業界に「ワ二の鈴仙」と言わしめた会社です。

代表は鈴木功さんという方で、私とは、『サイシンフォーラム』(埼玉新産業ストラテジーフォーラム)という、デザインと経営を研究・実践する同士でもあります。

鈴仙「クロコのステーショナリーシリーズ」オンラインショップ

爬虫類には独特の魅力があります。その魅力に取りつかれた方が、縁あって鈴仙さんのホームページを発見し、訪ね、鈴木さんとインターネットを通じて、ご自身のイメージを伝えます。鈴木さんがそれに応え、やりとりの末、世界にたった一つの「クロコのステーショナリーシリーズ」を完成させるのです。このプロセスは、まさに、私が常日頃「市場デザイン」で唱えている、顧客との共創がブランドを生みだす「感動コミュニティーづくりのフレームワーク」を文字通り実践されている先駆者です。

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ワニの革で作ったワニのチャームもいいでしょ?(笑)

私も名刺入れとUSBメモリーケースで愛用させていただいています。名刺入れは使い込むほど色艶が増し、肌になじむ感触が得も言われない愛着を醸し出してきます。工業製品もこんな感性性能を埋め込み、「愛○○」に仕上げられれば・・・と言うのが私の研究課題でもあります。

また、明日から皮革のものづくりの話を進めていきます。お楽しみに!