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「生活界」が世界を変える!?

2012年02月03日 11:41

「ガス式熱バサミ」の商品開発は素晴らしかったですね!異なる社歴と業界の枠を超え、顧客ご利益を一緒にモノづくりを行った。その活動はこれから小さな企業が生き残るお手本になると信じ。僕なりの思いを込め選定しました。

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モノづくりの公式は“ご利益づくりの働き連合”
「ガス式熱バサミ」=農園芸バサミ企業×半田ごて企業/病原性微生物の感染防止

これはビジネスが「進化」をするための単純な公式だと思っています。病原性微生物の感染防止(ご利益づくり)を目指して、農園芸バサミ企業(切る・断つ働き)と半田ごて企業(発熱させる働き)が協力して、「ガス式熱バサミ」(ものづくり)をつくった!そして、競合がいないマーケットを創りつつあるという成果を出したのです。

ご利益を創るために、協業するビジネス公式が、地域ビジネスの世界で、レアケースであること自体を何とかしなければならない!もっと顧客のご利益実現で「つなぐ」ことが、大量生産されればいいなぁーと思っています。

この公式は自動車メーカー家電やメーカーにも当てはまります。規模が大きく経済界に大きな影響を持っているから、変えられない、変わらない。そんな理屈は通用しない時代になってしまいました。と言うか、卒業する時代と言うのが正解かもしれません。モノづくりは、顧客のご利益(ベネフィット)を追求するために、ものが持つ働き(機能)を融合し最大化しなければ!そのために、事例のように産業間の垣根を超えたビジネスを展開しまよう。そうしないと、企業どころか地球が持たないもっと前に僕等生活者が反乱を起こすぞ!((笑)!その前に、デザイン賞のあり方を変えなければなりませんね(これは反省です)。

NISSAN REAF to HOME

変える力は「産業界」ではなく「生活界」が持つ
「生活界」なんて、ありはしませんが、「産業界」や「政界」など、一般人がとても歯が立たない団体に対して、「生活界」から「進化」のプレッシャーをかけたいですね(笑)。

“生活の仕方が変われば、車だ、家電だ、なんて、モノ単位で仕分けられた産業が、バラバラに解体されて、生活をより良くする“働き連合”で再構成されるはずです。

それを先取りするのが「つなぐ」デザインのつもりです。事例の場合、病原性微生物の感染防止を、何とかしてよ!と言う、声になっていない欲求(潜在ニーズ)を、外山刃物さんと中島銅工さんが、先回りして解決した上げたわけです。

この続きはゆっくり週末に考えてみます。そのあと日本が誇る節句と節句人形についてお話をしてみたいと思います。それでは良い週末を!

甲府にて

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「つなぐ」デザイン思考 5

2011年07月04日 11:00

飛躍、離脱、進化するコンセプト3
君がデザインしたポートフォリオのコンセプトは「メモができるポートフォリオ」ではなく、もともと、先輩や出来るデザイナーの意見が聞けるポートフォリオで、それをきちんと表すと・・・

「作品の完成度が高まり成長するポートフォリオ」

生徒「・・・でもそうしたら先生のような発想ができるんでしょうか?
それはね・・・いやいや、今日はまたこれくらいにして、来週そのあたりをきちんと説明してみよう。・・・ここまで先週の話

その秘密は?
最初に考えたコンセプト表現の「メモができるポートフォリオ」って、「働き」をそのまま表現しただけで、こんなことができるぞ!という機能自慢だね。

それではいけないんですか?

いけなくはないけど、「メモができる・・・」機能の伝達だけでは消費者の心に届かない。
メモができることによって、どんないことが起こるのか?その結果が大切なんじゃないかな?

あっコンセプト=ご利益でしたね。いけない、突っ込みが足りなかった。

そうだね、市場に溢れている商品の多くは、コンセプトをこんなことができる!っ言う機能自慢が多いね。 

機能に続けて「だから」って接続語をつけてコンセプトを発想するんですね。

よく気がついたね。メモができるポーフォリオの機能がある・・・「だから」?

メモができる「だから」・・・先輩の意見が聞けて作品の質が向上する・・・そうか!これをもっと洗練させると、「作品の完成度が高まり成長するポートフォリオ」になるんですね!


その通り!それがコンセプトの飛躍、離脱になるんだよ。

ビジネスの現場でも同じ
学生とのやり取りをベースに、コンセプトの話をしてきましたが、これはビジネスの現場で起きている“笑えない現実”とまったく同じです。
とかく企業と商品開発担当者は、新しい優秀な技術がもたらす働きと機能を、デザイン・商品開発のゴールと勘違いしてしまいます。そうではなく、働きと機能によって、使用者の身にもたらすご利益がコンセプトだということを忘れないでください。これは開発の姿勢に影響を与えます。


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「つなぐ」デザイン思考 4

2011年07月01日 10:59

飛躍、離脱、進化するコンセプト2
「メモができるポートフォリオ」

デザイナーの先輩に見せて意見を聞き、貴重な意見をその場で、ポートフォリオに直接、書き込める(もちろん作品を汚さないで)。それによって自分の作品の磨きをかけることができる!と言うものでした。

君がデザインしたものと、どこか決定的な違いに気が付かないかい? ・・・また、気づきを誘導する質問を投げかけます。
   自分のデザイン案と従来のポートフォリオの決定的な違い・・・?
そうだね、普通のポートフォリオの働きと、君の考えたポートフォリオは全く次元が違うんだよ

・・・ここまで昨日の内容でした。

もう一度従来のポートフォリオ抽象表現を確認してみよう
作品を目的に合わせ並べ替えながら収納して、作品の状態を生み出した時点の品質を確保でき、高品質に見せることができる。

それに対して君のポートフォリオを抽象表現にして比べてみたらどうだろう?
えーっと、作品を目的に合わせ並べ替えながら収納して、作品の状態を生み出した時点の品質を確保でき、高品質に見せることができる。そして人の意見やアドバイスを受けて、さらに作品の完成度を高めることができるポートフォリオ・・・。ですよね?

気がつかないかい?
あっ・・・作品の状態を生み出した時点の品質を確保でき、高品質に見せることができる
                ↓
そして人の意見やアドバイスを受けて、さらに作品の完成度を高めることができるポートフォリオだ!


この差がどれくらい大きいのか気がつかないかな?
成長するポートフォリオ!」って言い方の方がふさわしい

と言うより、きみがデザインしたポートフォリオのコンセプトは「メモができるポートフォリオ」ではなく、もともと、先輩や出来るデザイナーの意見が聞けるポートフォリオで、それをきちんと表すと・・・

「作品の完成度が高まる成長するポートフォリオ」なんだよ!デザインした君自身がそのことに気が付いていなかったんだ。
これは従来商品の改善ではなく、「進化型商品」なんだよ。ここがデザインテーマの重要なポイントなんだ。

それじゃ、だめ押しに聞くけど、メモができるポートフォリオ」と「作品の完成度が高まる成長するポートフォリオ」では、どっちが商品として魅力的だろう?
それは勿論、「作品の完成度が高まる成長するポートフォリオ」です。だって、めちゃくちゃ、メモを書ける以外に、いろんなアイデアが山盛り出てきますから!でもそうしたら先生のような発想ができるんでしょうか?

それはね・・・いやいや、今日はまたこれくらいにして、来週そのあたりをきちんと説明してみよう。君は又このコンセプトで、来週までに新しいコンセプトキャスティングとスケッチ展開をしてくること。いいね?

つづく


「つなぐ」デザイン思考 3

2011年06月30日 08:00

飛躍、離脱、進化するコンセプト
今日は日藝のデマネージメント論で、コンセプトの飛躍について実験してみました。
テーマはポートフォリオの開発です。ポートフォリオは就職を優位に運ぶために、自分の作品をファイリングし、編集し、最高の状態で面接官に見せて自分を売り込む、学生にとって最も重要な武器です。これを3年後期のデザインマネージメント論で企画し、商品コンセプトに構成したんです。

出来あがったコンセプトが「メモができるポートフォリオ」
デザイナーの先輩に見せて意見を聞き、貴重な意見をその場で、ポートフォリオに直接書き込める(もちろん作品を汚さないで)。それによって自分の作品の磨きをかけることができる!と言うものでした。

コンセプトってご利益のことだよね。ご利益は?
   そうです。メモが書けるというご利益・・・
それは機能じゃないの?
   あっ!そうか・・・ご利益は意見を聞ける
いや、そのもっと先は?意見を引きだせる、「だから」・・・
   「だから」作品が改善できる・・・です・・・か?そこまで考えていなかったです・・・。
今、すっごくいい気づきに差し掛かっているよ。それじゃ実験だ。ポートフォリオって「もの」は具象だね。
   そうです
それを抽象化してみようよ
   作品を目的に合わせ並べ替えながら収納して、作品の状態を生み出した時点の品質を確保でき、高品質に見せることができる・・・ですか? ・・・

こんなにスムーズには行きませんが、私の誘導もあって何とかまとめます

君がデザインしたものと、どこか決定的な違いに気が付かないかい? ・・・また、気づきを誘導する質問を投げかけます。
   自分のデザイン案と従来のポートフォリオの決定的な違い・・・?

今日は学生が「あっと」驚き、自分のデザインがものすごく可能性がありながら、如何に浅い次元で止まっていたのか?と言うことに気がついたようでした。講師の僕にとってもすごくうれしい出来事でした。

「何が?」って感じでしょうが、種明かしは明日のブログで!皆さんも。飛躍する。進化するコンセプトの大転換を!どうぞ明日までに考えてください。

今日は、山形の「つなぐ」デザインビジネスと研修へ出かける「つばさ」の中で原稿を書いています。

「つなぐ」デザイン思考 2

2011年06月23日 08:00

具象から抽象へ
昨日、日本大学藝術学部の大学院で、6月22日のブログ「具象から抽象へ、そしてまた具象へ」を、前倒しで見せて、抽象化の実験をしてみました。
学生は日本人、中国人、台湾人(中華民国)で、ちょっと外国人にはハードルが高いのですが、ぎこちなくも進めてみたのです。ちょっと先生臭い会話になりますが、我慢して読んでください(笑)。

ペットボトルを取り上げて
at Sendagaya
Photo By naoyafujii

これを抽象化すると・・・?
   水を入れる容器です  自信満々です(笑)

良いけど、それだとコップやお椀もその表現に該当するよね
   それじゃあ・・・キャップができて水がこぼれない・・・入れ物?

だいぶいいセン行ってきたね。でも、それだと水筒も入るよね
   そうかぁー・・・

なぜペットボトルでなければならないのか?その必然性を考えよう
   買える、持ち運べる、捨てられる・・・ですよね? 自信なげに。

そう!そう!ペットボトルそのものが生まれた背景とか働きを探るんだね
   出先で購入出来て、飲料を持ち運べ、好きな時に飲め、要らなくなったら捨てられる容器です  流石、大学院生です。

正確に言うとそうなるね。でも、それを開発の現場でいちいち言っていたら、会話やアイデアが途切れるからもうちょっと縮めるんです。ただしみんなが合意の上でね。
   購入、携帯、廃棄ができる飲料容器でいいのかなぁー

満点!合格!日本人でも難しいのに、よくできたと思うよ
   先生、日本語は難しいです

だからいいんだよ。日本語の豊富な語彙や、何とも曖昧な表現というのが、実はデザインと商品開発にとてもいい効果を生むんだよ。購入、携帯、廃棄ができる飲料容器って言う捉え方は、実はね。重要なデザイン課題が既に入っていることに気がついてほしいんだ。つまり、購入、携帯(飲用)、廃棄という一連の行為を表現しているんだね。
   先生持論の「ING DESIGN」ですね。

そうそう、つまりもののデザインは、即ち、そのものを取り巻く一連の行為をスムーズにとりおこなう活動をシームレスに「つなぐ」ことなんだね。・・・この後はしばらく馬場先生の独論理展開!院生は付き合ってくれます(笑)


抽象化の効果を確認してみようか?
君たちは飲料用ボトルメーカーのデザイン開発スタッフだとしよう。これから新しい容器をデザインして、飲料メーカーに売り込むんだ。そこで、デザインチームが2つ立ち上がったとしよう。君たちならどっちのプロジェクトに参加したいかな?

Aチーム 「顧客のニーズに応える“新ペット容器の開発”」

Bチーム 「新しい需要創造“新たな飲用行為を生みだす新容器の開発”」


全員がBチームに参加したいと、躊躇しないで手を上げました。
いかがでしょうか?言葉のトリックのような気がするかもしれませんが、デザインは最初に何が課題で、何を生みだすのか?明確に表現する。

その場合、具象をしっかり把握した上で、具象の根源を抽象で“ワクワクするデザインしたい言葉で表すこと”“デザインしたくて、したくて、仕方がない状況を創る”ことなんです。

皆さんも抽象化ゲームをやってみてください!効果絶大ですよ。見えないものが見えてきます。