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未来の指定席を予約する

2010年12月17日 13:41

過去から現在に至る動向を分析して未来を予測する。一見合理的なようですが、何か合点が行かない、そう思った人は少なくないと思います。分析製度を上がれば上げるほど、みな同じような予測になります。その証拠に同じようなスペックとデザインの商品が、市場に並ぶんですね。べつに産業スパイがいるわけではないのです。

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映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」で、敵役のビフがひょんなことから、1950年から2000年のスポーツの結果が記された「スポーツ年鑑」を手に入れます。未来のスポーツゲームの勝敗を知り、スポーツ賭博で大金持ちになり未来を変えて行く・・・こんな筋額だったと思います。

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イギリス版のブルーレイにはオマケでスポーツ年鑑が付いてくるとか。これであなたも大金持ちに!?(笑)

もっと古くは、タイムマシンやタイムトンネルなどの映画で、好きな時代に飛んで・・・など人は潜在的に、未来の先取りとやり直しに、強い願望を持っていますね。ですから「もし・if」というテーの小説が根強い人気を持っています。

さあ、もしも「未来を創ることができたら」としたらどうでしょう。
僕はデザインの開発法でそれを独自の考えで実践しています。ちょっと基本的なやり方をお見せしますね。

現在を把握する

欲しい未来のもっと先を発想する

描いた未来に跳んで振り返り欲しい未来を発想する


基本姿勢は、好ましい未来を発想することと、一旦実現したい未来の先に跳躍して、そこから通り過ぎてきた中間未来を過去のよう眺めて発想することです。

一見荒唐無稽のような考えですが、明るい未来を手に入れたいと願う人の心に従順で健全な思考だと思っています。窮屈で暗いレクイエムシナリオの未来分析予測よりも、ずっと気持ちの良い発想予測です。

さあ、あなたも自分が座るべき未来のファーストクラスシートを予約しましょう!

※この考えは、「3×4」デザインプログラム?の手法としのフレームワークとして定義され、さまざまな企業の商品開発で実践されています。

出ました2010年ヒット商品番付!

2010年12月16日 08:00

12月8日に日系MJから今年(2010年)のヒット商品番付が発表されました。(日本経済新聞ヒット商品番付

2010年
東の横綱はスマートフォン 
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西の横綱は羽田空港
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ちょっと気になって10年前(2000年)の番付をみたら・・・

2000年
東の横綱はiモード
"I" button

西の横綱は半額バーガー
McDonald's™ Overload, Times Square, NYC

10年たってもモバイルフォンが横綱でした。ただしその商品を、ただの「モノ」としてみれば、「なーんだ、またケータイか・・」ってことになりますが、生み出した社会背景=コトを分析すれば、その必然性がわかり、生み出す効果と社会変化も予測できます。結果、同じケータイでも、そこには大きな意味の差があることに気がつきます。

僕らデザイナーは、日ごろそんな社会現象を見つつ、新たに生み出すことに大きくかかわっていて、ファッション(流行)の断面の積み重ねから、トレンド(動向)を読み取って、トレンドをリードする次の一手を打つのです。・・・が、

が!です。何か妙にそらぞらしい感じがしました。“過去の積み重ねから現状の必然を認識し未来を予測する”
ものすごく、もっともらしい理屈なのですが、そこには誰か(時の流れ)が未来を創るという前提があって、その範囲の中でみんな“合意して売れるもの”をでっち上げようね!“と、シンクタンク、マスコミ、マーケティング、デザイナーたちが結託して作っているような“気分”なってしまいました。

でも!こんな気分って大切なんだろうと思います。
これは今の閉塞した時代が僕自身の気持ちに反映して、「あー、ヒット商品といわれても、本当に僕らが欲しかったのはこんなものだったのかな?」って、気分にさせたんでしょうね。実はこの気分ってのが凄く大切なんだろうと思います。まさに景気って言うくらい、経済だって数字を駆使した分析は大切だけど、経済を押し上げるのは、モノやサービスを買いたくなる気分ですよね。時代を作るのは気分の要素が大きいのですね。

ものづくりも、時代のキーワードである、コスト、価格、バリュー、中国調達、などなど、さまざまな時代のキーワードが気分を作り、どんどん面白くない方向へ流れて行く。そんな気持ちになりませんか?

と、言うと!面白い未来は予測ではなく創る!方が良い!
そんなことが可能なのだろうか?デザイナーとして、商品開発コンサルタントとして、いやいや、この時代に生きている当事者として、ここを真面目に考えよと思いはじめました。

オマケ
さらに20年前の番付を見ると、

1990年
横綱は「花博」

大関は「ちびまるこちゃん」


妙に「ちびまるこちゃん」が納得って感じなんですね。今の時代、サザエさんよりも、ぐっとリアリティーがあり、胸に迫ってくるのは私だけでしょうか?

見えないものを見る力

2010年11月29日 08:00

見えないものを見る力
これが2つ目のキーワードです。
日本人は、もともとこの力に長けていたと思います。「侘び」と「寂び」などが、その力が洗練され芸術的に昇華されたカタチだろうと思ってぃます。

今年のグッドデザイン大賞を獲得したダイソンのコアコンピタンス(中核能力)を、従来のように見えるもので捕らえると、流体力学という論理と空気の制御技術となります。それでは中小企業にとって使えるキーワードは浮かび上がってきません。科学が白衣を着た研究者だけのもの捕らえる見方と同じです。

前述したように、ダイソンのコアコンピタンスを、

「“空気の働きを知り尽くし(科学・論理)、空気を自在に操って(技術)、空気から新たなご利益を引き出す(着想力)”だと捕らえるとどうでしょうか?」

何か心に「あっ、これなら自分にも考えられそう!」と思いませんか?このような捕らえ方が見えないもの見る秘訣です。つまり、空気から新たなご利益を引き出す・・・などと、柔らかで、発想する余地を充分に含んだ、平仮名混じりの優しい言葉で捕らえることです。

流体力学は普遍的な論理として学べば誰でも修めることができます。生産技術も工業化社会の普遍化によって、製造設備、技術者、一定の経験を持った労働者がいれば手に入ります。今の中国の躍進がそれにあたります。日本もかつてそうでした。必要なのは、それらを活かす見えないものです。



空気の働きから新たなご利益を引き出す
もしもあなたがダイソンの社員だったら!さあ、次はどんな新商品を開発しますか?
持っている力は、以下の3つです。

1 空気の働きを知り尽くしている科学・論理

2 空気を自在に操って仕事をさせる技術・生産設備

3 空気働きから新たなご利益を引き出す着想力

羽根のない扇風機のバリエーションで、ファンのないヘアドライヤー?リング状の温風器・・・それも面白いですが、空気から新たなご利益を引き出す。これがキーワードですね。僕はダクトがないのに、空気を思うように導く「こと」ができたらいいなぁーとイメージしました。

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例えばガレージで車の排気ガスを屋外導く場合・・・今までは、排気ダクトをマフラーに装着していました。ダクトの配管工事も必要ですし、ダクトにつまずく事もしばしば。それをこのマルチプライヤーの技術を応用したら・・・!?

そんな「こと」を考える力が中小企業の商品開発とデザインの根源だと思います。

これも立派な科学です!

2010年11月22日 08:00

皆さんは科学と言われると、ノーベル賞を頂くような高度な論理や発見だと思っていませんか?そうなると、研究者などいない中小企業にとって、科学は縁遠いものになりますが、私が中小企業に科学が必要だ!といっているのは、もっと基礎的な科学的思考と論理性のことなのです。

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2010年度 中小企業庁長官賞 受賞 「丸亀うちわ」

理屈はともかく、今年のグッドデザイン賞の事例で、とても参考になる受賞商品がありましたのでご紹介します。
香川県は「うちわ」の産地である丸亀市の、うちわ工房三谷さんとデザイン創造工房〔めがね〕さんがデザインした〔丸亀うちわ「Ojigi〕です。見事!中小企業庁長官賞を受賞しました。

人間工学とデザイン
見たとおり、もち手と本体が曲がっていて、見た目に妙なスタイリングですが、すぐに、「なーるほど!」と、合点がいく形になっています。手で持ってあおぐと、自然に風がお顔に向かって吹いてくるという仕掛です。
そこには、人間工学という立派な科学的論理が備わっているわけです。いかがですか?

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今までの伝統的な様式を一旦疑って、「もっと効率よく風を顔に当たるためにはどうしたらいいのか?」という、素朴な課題を自ら設定して、ヒトの骨格、筋肉、関節の動きなど解析(大げさかな)するという、科学の根源的な思考が見えます。

これは、大賞を獲得したダイソンの扇風機と同じように風を送る道具です。経営資源の差から見たら、失礼ですがダイソンには、及びもつかない零細な企業さんですが、科学する心は同じだと思います。

中小企業でも科学はできる
ですから、白衣をまとった博士がいなくても、一旦現実を壊し、根源的な課題を科学的に捉え直し、デザイン的に解決していく。このようなリテラシー能力を発揮することが、中小企業にとって、とても効率のよい開発手法だと思っています。つまり、科学的な姿勢でものを見よう!考えよう!と言いたいのです。

デザイナー(科学)は、技術者(職人)を挑発する
デザイナーが科学的な根拠で、疑い新しいことを考える。職人がそれに触発されて、さらに高度な技術を磨きモノを創る。ものすごくいい見本がここにあります。今年のGマークは大賞をとったダイソンと、中小企業庁長官賞を獲得した「うちわ」が、日本の産業にいい風を起こしてくれる予感を感じました。

「科学と学習」という学習雑誌を夢中で読んでいたあのころを思い出してください。実は僕はあの本の読者ではなく、教材を企画デザインしていた者です。それは、それは、とても苦労の多い仕事でした。知っているようで知らなかった科学の基本を、とことん調べて小学生にわかるように教材化するのは苦労の連続でした。この苦労話はまたいずれ!

次回は、中小企業にとってもうひとつ大切な、ものづくりのキーワードをご紹介します。お楽しみに!

赤い海?青い海?

2010年11月18日 08:00

元気な企業になる秘訣
僕は、地方の中小製造業をデザインで応援しています。
この商品は、そんな中小企業にとって、お手本となるいい答えを提示してくれています。もう打つ手はない!と勝手に土俵から降りようとする企業を、「ちょっと待って!まだ独自の土俵があるはずだよ」と、教えてくれました。

ダイソンは、フィルターの要らないサイクロン方式の掃除機がヒットして、一躍有名になりました。

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2009年度グッドデザイン金賞 サイクロン掃除機

日本の総合家電メーカー(これが瓦解しつつある)の、どことも異なる立場を確保しました。どこの誰とも異なる掃除機が、商品市場で新たなポジションを創りました。そのダイソンが、今度は羽根のない扇風機をデザインしたのです。このあたりに、デザインで元気になる企業活動の秘密がありそうです。

ダイソンの凄さとしたたかさ
ダイソンのコアコンピタンス(中核能力)は何でしょうか?
僕は、“空気の流れを自在に操り、空気に新たな仕事をさせる”ことができる企業だと思いました。

つまり掃除機や扇風機を作る家電メーカーとして捕らえないほうがいいのだと思います。掃除機と扇風機という機器だけ見ると、Q・C・Dで上回ろうとする血みどろのレッドオーシャンで戦うことになります。

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Dyson WEB SITEより引用

「空気を自在にコントロールする会社か・・・」。そう考えると、「さあ!次はどんな商品を作って僕らを驚かしてくれるのか?」と、期待しますよね。
いやいや、そうではなく(笑)。あなたの企業がダイソンになるためには?と、考えて欲しいのです。

あなた自身に置き換えると、なにやら可能性を感じませんか?自分の会社の持っているシーズをデザインで生かす方法に期待が持てる予感が持てて、なにやら心に小波が立てば最高です。

技術の背景にある科学
僕は、掃除機を作る技術、扇風機を作る技術として捕らえるより、もう一段深く、空気を操る科学と論理が大切なのだろうと思います。つまり、技術に結びつける、あるいは挑発する科学のことです。次回はこのあたりを、もっと掘り下げてみたいと思います。



この他にもダイソンのウェブサイトではマルチプライヤーの仕組みや実験の風景等が紹介されています。