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手描きのイノベーション構想(妄想)「イロハのイ」

2018年01月25日 12:21

みなさんは商品や事業開発の、最初の一手をどんなふうに「描き」始めますか?

今日は馬場が日常的に行っている企画の「イロハのイ」を開陳します。それは手描きの妄想図です。興に乗って書いた文字は学生から「先生、板書が判読不能です!」と言われます。しかし、弊社のスタッフは書いた私でも分からない文字を解読してくれます。それは文字の解読というより、情報の全体像を画像で認識するというイメージです。速読で用いるフォトリーディング技法のようなものかもしれませんね。

前回ブログでアップした、「3×4」の新しい開発3要素=「ヒト」「モ・コ」「ナガレ」を使って、試しに神戸の研修事業の妄想素材を20分で描いてみました。描いてみて「モノ」→「モ・コ」と「バ」→「ナガレ」の変更は、ダイナミックな発想を助けてくれるという印象を持ちましたよ。結構行けます(笑)。

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クリックで大きくなります

受け止めるフレームさえしっかりしていれば、矛盾する中身をとりあえず吐き出しても心配は有りません。構想を阻害するのは「整理された中身にしよう」とするあまり、発想を萎縮させてしまうことです。妄想は構想の立派な下敷きです。だから情熱で突っ走ってもいいのです。ただし!冷静さ取り戻し実現可能な構想にする手順が必用です。

妄想を暴走させる→外に見える化する→冷静に実現可能な構想に仕立てる

そんな時には手書きがベスト!PCを使って作業をすると、創作中に邪念(過去の成功や失敗そして他社の動向、上司やクライアントの評価)が入り、思考の速度に表現が追いついて行かず、出来上がった図版は綺麗なものの、あれっ、こんな優等生の誰でも知っていることを書きたかったんだっけ?」となってしまいます。これを上手くやる秘訣は、「勢い」です。筆に墨をタップリ含ませて、一気に思いを白い紙に注ぎ込む書道のようなものですね。これをワードや特にアタマの硬いエクセルなんかでやってしまっては、元も子もありません。

ともあれ神戸のみなさん!明日のブレイクスルーに向かい、十分な妄想と構想を繰り返しましたか?
■「ヒト」のリアルなインサイトに迫ることができていますか?
■「モノとコト」が相乗効果を生む「ご利益」の発想ができていますか?
■地元企業と地域の力で新しいビジネスの「ナガレ」を構想できていますか?

見たことも聞いたことない新しい事象を構想した!本当にできるの?これってヤバいんじゃない?など物議を醸す構想をした!でも、大丈夫、そんな不安を払拭し現実化できる手の内がある!この3つをご一緒に確認しながら創作して行きましょう!!

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イノベーションの基盤整備

2018年01月24日 10:28

デザイン3要素の「ヒト・モノ・バ」が、変わらないけど変わります。「3×4」を良くご存知のみなさんは「えっ!」と思われますよね。

ヒトは変わらず、モノが「モコ」に、バが「ナガレ」になる予定です。
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「3×4」を提唱した当時から「モノ」の要素は、見えるモノのデザインと、見えないコトのデザインの両方を指していて、これはデザイナーの常識だったのです。しかし、今時のマーケターやコンサルさんが、ことさら、モノとコトを対比させて説くことが多くなり、これじゃ少数の側になると思い(苦笑)、いっそモノ+コト=「モコ」にしてしまおうと思いました・・・が、「モコ」って、あまりにも可愛過ぎやしませんか?(笑)。

「バ」の要素は当初から、流通と販売活動のことを表していたのですが、受講生によっては、モノの売り場を企画することと、スタティック(静的)な構想しかアタマが動かず、もっとココロを動かすために、モノとコトの流れを創るダイナミック(動的)な名称を付けたいと模索していました。それが「バ」を「ナガレ」に変えた理由です。

しばらく、クルー内部の企画構想と、近しい研修で使い、スタッフと参加者のアタマとココロがどれほど活性化されるか?実験をしてみたいと思います。たった「数文字のカタカナ」ですが、人の発想力に与える影響は大きいはずです。

ブレイクダウンとキャスティングシート

2018年01月17日 16:29

あけましておめでとう・・・と言葉にするのは気が引けるくらい間が開きました(苦笑)。今年最初のブログは前回記事「小さな企業が普通の技術で起こすノベーション」の続きです。

栃木県の「ものづくりデザイン塾2017」では、コモディティー製品のテーブルタップと水筒が対象物でした。そこに次のような「ブレイクスルー」が起きました。今回はタンブラーの「ブレイクダウン」事例をご紹介します。

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タンブラーもいろいろ こちらは自転車のボトルケージにぴったりなタンブラー

「ブレイクスルー」
・自分の小さなタンブラーが、職場の休憩時間を「お気に入りのカフェ」にする!
・職場の休憩時間をたちまちお気に入りカフェ空間にしてくれるタンブラー???
・それを、一体どんなふうに「ブレイクダウン=現実化」するのでしょうか?

職場にカフェが現れる!タンブラーがカフェに!など、ブレイクスルーを聞かされると、「えっ、そんなことができるの?」と一瞬なにが起るのか疑心暗鬼になると思います。でもそれが大切なんです。だってイノベーションとは、見たことも聞いたこともないこと、物議を醸すこと、それを必ず現実化すること!この3番目がしっかりしていれば、どんな夢想をしても構わないのです。その現実化が「ブレイクダウン」の仕事です。

対象者は、子育てで今は家計が大変だけど、せめて、パートの短い休憩時間でも気分転換をして、疲れを癒し仕事を続ける気持ちを維持させて欲しい!そのために、季節や気分によって、ハーブティーやコーヒー、時には手づくりスープを、お気に入りのタンブラーに入れて持って行く・・・賢い若いお母さんです。タンブラーが働くママを応援できればいいですね!

ブレイクダウンとキャスティングシート
「ブレイクダウン」するとこのような商品案になったのです。それをクルーが提唱する商品コンセプトキャスティングシートに表しました。

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キャスティングシート

如何ですか?
「ブレイクダウン」の種明かしをご覧になって、「なーんだ!そんなことか」と思ったあなた・・・それは「コロンブスの卵」と言います(笑)。今回はあえてスケッチは描きません。コンセプトの説明でどんなスタイリングと機構が考えられるか?あなた自身でスタイリングにブレイクダウンしてみてください。

ちなみに、「サポート要件」:鼻孔をくすぐる「香りウインドウ」この要件が気になって、あるアイデアについて友人の弁理士に調査をしていただきました。ありましたね!特許が(爆笑)。こんなふうにブレイクスルーとブレイクダウンを、軽快に繰り返す内に、きっと特許がとれるような商品案を生み出すことができます。頑張ってください!

次は神戸のみなさんの番ですよ!1月26日は楽しみに伺います。

ブレイクスルーとブレイクダウン 4

2017年02月23日 14:15

ブレイクスルーの面白さを感じてみたものの、イザ!自分でやってみると案外戸惑うものです。ブレイクスルーしたつもりでも、馴れないと今迄の思考と同じように技術の発展を構想して、機能と性能の差別化アイデア出しに終始していた・・・あれ?こんなはずじゃなかった・・・。ということになる可能性もあります。実は研修でよく見られる光景なのです。今日はそんな「惜しい!」事例をご紹介しますので、是非、これを参考にしてブレイクスルーのコツを掴んでください。


ブレイクスルーの落とし穴
引き続き冷蔵庫の事例で、ブレイクスルーできなかった代表的な落とし穴をご紹介しますので、その「発想の分岐点」に着目してみてください。こんな具合です。

ブレイクスルーできなかったケース ①

冷蔵庫は何のためにあるの?→食べ物や飲料を冷やすためにある
それは何のため?→食べ物や飲料を腐らせないためにある
それは何のため?→健康的で美味しい食生活のためにある(ニーズ発想)

昨日の事例ではここで飛躍(ブレイクスルー)が起っていたのだが・・・
失敗ケース1
このケースのブレイクスルー手順は正しいのですが、「健康的で美味しい食生活のためにある」というニーズは、言わば人生の最終ゴールのようなものです。だからこそ、個人の価値から発想するブレイクスルーが必要だったとも言えますね。


ブレイクスルーできなかったケース ②

冷蔵庫は何のためにあるの?→食べ物や飲料を冷やすためにある 
それは何のために?→食品や飲料を腐らせないためにある
それは何のため?→健康的で美味しい食生活のためにある(ニーズ発想)


  一つ戻ってここからやってみよたらどうなるかな・・・。

それは何のために?→食品や飲料を腐らせないためにある
それは何のため?→食品や飲料の鮮度を保つためにある
それは何のため?→食品や飲料の美味しさを保つためにある


失敗ケース2
どんな食品でも美味しく食べるようにする→酸化を防ぐ○○バリヤ灯、栄養素を逃がさない△△キープ、商品ごとに最適な保存モード、賞味/消費期限を忘れない知らせ機能・・・。

このようにブレイクスルーとは、機能・性能競争に入り込む手前で、「誰のための幸せを創る冷蔵庫にするのか?」、つまりターゲットを定めてペルソナを設定し、その人の立場から、未来の冷蔵庫のあるべき理由を想像することなのです。

次回は実際に商品化された商品のブレイクスルーポイントを探って、独自の市場を創り成功した「新田プロダクト」の事例をご案内したいと思います。

デザインの「解放」神戸ものづくり塾 プレ講座 7

2017年01月18日 08:00

ここまで小さな企業が、「良いビジネス=商い」を立ち上げるために、<「3×4」クロス・デザインマネジメント>のステップ1と2をシミュレーションし、自社優位な開発の基盤を創るデザインの手法を説明してきました。明日から始まる「神戸ものづくり塾」で良いスタートを切っていただくために、今までのステップの「まとめ」をしておきたいと思います。最初に「良い商い」の進め方を確認しましょう。

良い商いの道筋は!
「今ある市場」から「自分が創る市場」へ向かうこと!

<「3×4」クロス・デザインマネジメント>のステップ1は、「良い商い」を始めるために「三題小噺を」創りました。それは、誰にも邪魔されず、自社が長期にわたり、主体的な商いができる「商いの儲け話」の基本構想のことでした。

そうなると商いの基本姿勢とは?
売れ筋商品がひしめき合う「今ある市場」でビジネスをするのではなく、誰の商品とも競合しない、「自分が創る新市場」へ「離脱」することが必須となります。
デザインの進化
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「我田引水ビジネス」ならぬ「新田○○ビジネス」!?

「自分が創る新市場」とは、今は誰も関心を示さない商いの分野ですが、自分が未開のマーケット(新田)を開墾することです。しかし、開墾しただけで市場が育たないので、耕した田畑に“陽を当てて水や肥やしを与える”ことが必要です。この行為は、既存市場にある自分の田畑に、他者を差し置いても多くの水を引く「我田引水ビジネス」ならぬ「新田○○ビジネス」とも言えるのではないでしょうか?さあこの○○に相応しい行為とは何でしょうか?

「新田」の開発は、<「3×4」クロス・デザインマネジメント>のステップ1で説明した、商いの「三題小噺」で可能になるとして、そこに、「引水」のように、“陽を当てて水や肥やしを与える”という行為とはどんな活動でしょうか?「三題小噺」創りでは、自社の「得意技術」やビジネスで得た「知識」を活用しました。一般的にはそれを「自社シーズ=自社の強み」の活用といいます。それを「3×4」らしく「新田○○ビジネス」に当てはめると、○○とは、養分をタップリ含んだ「知識の水=知水」と定義してみます。

「我田引水ビジネス」ならぬ「新田知水ビジネス」

仮説 中小企業の良いビジネスは、自社の「知的資産」という「知水」を新田に引き込み、豊かな実りを得る!・・・「我田引水ビジネス」ならぬ「新田知水ビジネス」としては如何でしょうか?

「我田引水」は、本来あまり好ましくない意味を持った熟語ですが、「新田知水」であれば、誰からも咎められず迷惑もかけない、むしろ率先して新たなマーケットを生み出し、産業界に貢献する姿勢だと思います。これからの中小企業のビジネスは「新田知水ビジネス」であれ!という仮説を据えて話しを進めて行きます。

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「新田知水ビジネス」のすすめ

<「3×4」クロス・デザインマネジメント>が言いたかったことは、中小企業のデザイン戦略(商いの構想づくり)は、他者と戦わない戦い方を考えること!自分が持っている資産を活かして、自分が「良い商い」ができる市場を創造することでした。それが「新田知水ビジネス」です。

■神戸の研修に興味のある方は下記へご相談ください
神戸市経済観光局 経済部 工業課
e-mail : kogyoka@office.city.kobe.lg.jp