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再開

2023年11月30日 14:02

2018年2月以降、5年10ヶ月の空白を置き「元気な企業を創るデザイン」ブログの再開です。

この間、みなさんと同じように私とクルーにも様々なことが起こり、社会も大きく変容しました。デザイン界での大きなトピックは、経済産業省が「デザイン経営」宣言を発したことです。このブログコンセプトの「デザインの解放による元気な企業づくり」にとって嬉しい宣言でした。このことはまたの機会で詳しくお話をさせていただくことして・・・

ブログ再開にあたり、身近で具体的なニュースからお伝えします。
12月15日から来年の3月まで、栃木県産業労働観光部が主催する「とちぎデザイン塾」に出講します。10年以上の歴史があるデザイン塾で、今まで様々なテーマで開催されています。こちらをご覧ください。

参考リンク:とちぎデザイン塾2023「DRD商品デザイン塾」の参加者募集について


デザイン塾のテーマは、フダンとイザを両立させる『DRD』 double roll design ダブルロールデザインです。参加企業は栃木県の中小企業に限られますが、本ブログを通じてDRDについて知り何か活動のキッカケになれば幸いです。概要は株式会社クルーのウェブサイトをご覧ください。

参考リンク:株式会社クルー ダブルロールデザイン研究所


今年度のデザインテーマは、「フダ」と「イザ」のダブルシチュエーションを、苦もなく乗り切る「はたらき」を込めたプロダクトのデザイン構想です。
DRDcrew.png

・「フダン」使う商品に「イザ」に対応するはたらきを仕込んでおく。
・「イザ」でしか使わない商品に「フダン」使えるようなはたらきを備える。

グッドデザイン賞で参考になる商品を見つけましたのでご覧くだい。

参考リンク:グッドデザイン探訪「好き」をかたちにする(前編)


(上記リンクより引用)

私は防災グッズが好きなので、どんなものでも買ってきました。でも、私の友達は、防災には興味がないので、「なぜ買わなきゃいけないの」、「いつ使うかわからない備えのために、なぜお金を出さなきゃいけないの」、「そもそも、かさばる防災グッズをどこにしまっておくの」と、不満を口にします。つまり、課題がいろいろあることに気付いたのです。


イザしか使わない防災用の寝袋をフダン使うクッションに仕立てたデザイン事例です。何を開発したらいいのかテーマが見つからない!そんな企業にとってDRDは、切実なデザインテーマを手に入れることができる。とても良い機会です。参加者はデザイナーに限りません。良い商品を創りたいと思う方なら誰でも大歓迎です。

参考リンク:とちぎデザイン塾2023「DRD商品デザイン塾」の参加者募集について

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ブレイクスルーとブレイクダウンの「アイダ・間」

2018年01月18日 17:05

ブレイクスルーとブレイクダウンの「アイダ・間」に何かあるでしょ?

ブレイクスルーでカフェになるタンブラーを発想し、ブレイクダウンでスター、サポート、アイドルという3つの具体的アイデアに現実化する。(過去記事参照

「なるほど!突拍子もないぶっ飛んだブレイクスルーと思ったけど、ちゃんと現実の商品案になるんだ!」

と納得されたと思います。しかし!それじゃ、スルーとダウンの「間」はどうなっているんだろ!?きっと「知りたいさん」「教えてさん」は疑問に思っていますよね(笑)。そこは、日藝をはじめ栃木や神戸の研修で手法を明らかにしていて、みんな辛い(笑)演習を重ね、雲間から抜けて青空を仰ぐ「爽快感」を味わっていただいているんですよ。でも特別にちょっとだけ中身を開いて教えします。

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それはこんな具合・・・ブレイクスルーはこうでした。

職場の休憩時間をたちまちお気に入り「カフェ空間」にしてくれるタンブラー
ここでいうブレイクスルーの肝は?そうですね “お気に入り「カフェ空間」” です。対象者にとってのカフェとは、どうなっていると良いの?と問い掛けましょう。

■カフェって、その日の気分で好きな飲み物や食べ物を注文できる・・・。
→そうか!マイタンブラーだから好きなものを自分で仕込み持って行けば良いんだ!
■カフェの楽しさは・・・飲みものにあったカップや食器で提供されるよね・・・。
→そうか!肉薄や肉厚のカップや径の異なるカップで味が変わるぞ。わかったTap(飲み口)チェンジで行けるぞ!
■カフェには独特(ハーブやコーヒー)の良い香りが漂っていて自宅とは違う・・・。
→そうか!タンブラーやコンビニコーヒーの味気ないのは、香りが立たないからだ!香り専用の窓を付ければ良いのか!

如何ですか!「特別な魔法」は何もないでしょう!?

魔法があるとしたら、日頃の観察力と、見知ったことを記憶にと止め、必用な時に引き出せる、自分なりの引き出しや紐付けができること!たったこれだけです。

でも、もう一つ「秘密の奥義」があるのです(笑)

それは、クルーの開発OS<「3×4」クロス・デザインマネジメント>に組み込まれた、アプリケーション。ブレイクスルー&ブレイクダウンテキストとワークシートです。

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さあ、神戸のみなさん!ご準備はよろしいですか?

小さな企業が普通の技術で起こすノベーション

2017年12月12日 14:20

今回のテーマは、小さな企業が普通の技術で起こすノベーションです。それも「成熟し切った商品分野で!」です。
そのために「抽象化が大切だ」と語ってきました。何故なら、「抽象化」は他社が追従できない独自テーマを創ることができるからです。

栃木県の「ものづくりデザイン塾2017」では、コモディティー製品のテーブルタップと水筒が対象物。それが以下のような「ブレイクスルー」が起きました。

「反抗期の娘と嫌われがちなお父さんを仲良くさせるリビングテーブルタップ」
えっ、テーブルタップを使うと娘と父親が仲良くなる?聞き捨てなりませんね。

「職場の休憩時間をたちまちお気に入りカフェ空間にしてくれるタンブラー」
なになに、カフェ空間を創る水筒ってどんな機能を持っているの?

さあ、みなさんどのような「ブレイクダウン」を思い付きますか?ワクワクしませんか?このワクワク感がイノベーションを誘発するのです。少なくともホムセンターの居並ぶ「退屈なあの製品」ではないですよね(笑)?何時か機会をみて結果をご案内します。

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次は14日から始まる神戸市主催の「2017神戸ものづくりイノベーション」では、京の着倒れ、大阪の食い倒れ。神戸の履き倒れならぬ、「神戸履き楽し」がテーマです。意欲的な履物製造企業数社を核に、異業種とクリエイティブビジネスを営む参加者が結集して、熱い4回のクリエイティブ活動が繰り広げられます。今から楽しみです。

ケミカルシューズ

ここで少しだけ参加者のみなさんへの予告をします
この研修では「新しいケミカルシューズのデザイン」がゴールではありません。「ケミカルシューズがある神戸の魅力的な暮らしのデザイン」が目的です!いわゆるモノのデザインではなくコトのデザインです。シューズと言う「名詞のデザイン」ではなく、シューズを履きこなす生活の「動詞をデザイン」します。

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強く意識するのは、どなたの生活価値を上げるのか?という事前イメージです。勿論、神戸にお住まいの方でも良いでしょうし、山・坂・街・海のある神戸に来られるゲストの方もあり!です。そこからシューズに求められる「はたらき」構想して行きましょう!出会いを楽しみにしています。

抽象化の面白さと奥深さ

2017年11月28日 13:51

このブログでは、イノベーションを起こすために課題=デザインの対象を「抽象化」して捉えることの重要性を述べています。つまり、「抽象化」とは課題の「本質」を見極めることに通じるからです。それ為しには、絶対にイノベーションなど起こせないのです。

「本質」の把握・・・などと言われると思わず身構えてしまいますよね。実は、その「本質」をカンタンに把握する方法が「抽象化表現」なのです。これは案外、奥深い思考が必用なのですが、コツを一つお教えしますね。

「抽象化」には二つあることを知ってください。

一つ目が、対象物が誕生した時に持って生まれた、「物財」としての「はたらき」です。これは「モノ」に装備させた「基本機能」と言ってもいいでしょうね。

例えば洗濯機が世に出たときの「物財」としての「はたらき」を抽象表現すると、こんな表現になります。

「洗濯対象物の汚れを水の撹拌によって落とす装置」

つまり洗濯機をいう「名詞」を使わずに、そのものの機能を説明する表現のことです。これはVE(価値設計)の入口で使う表現手法でもありますね。(VEについては後日お話をします)。どちらかというとエンジニアリング視点です。ここでメカの本質が見えてきて、「代替メカ案」が浮かびそうな予感がすれば、技術主導のイノベーションの入口に立っていることになりますよ!ダイソンさんみたいにね(笑)

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写真出典:http://poyoland.jugem.jp/?eid=702&guid=ON&view=mobile&tid=6

二つ目が、ユーザー視点で見て、「物財」が与えてくれるベネフィット=ご利益を抽象表現したものです。こんなふうになります。

「洗濯物を投げ込めば勝手に洗濯をしてくれて、足腰の痛みや冬の辛い水仕事からお母さんを解放してくれるお手伝いさん」

これはマーケティング視点の抽象化ですね。それも洗濯機が発売され昭和の「抽象化」です。今日の洗濯乾燥機は???さあ、どんなはたらきの抽象化ができるでしょうか?ここでも、新時代のユーザーさんに対して、「新しいお役立ち案」が浮かんでくれば、マーケティングでイノベーションが起こせますよ!今度はアップルさんみたいにね。

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写真出典:http://poyoland.jugem.jp/?eid=702&guid=ON&view=mobile&tid=6

ここで一つ大切な気付きを!
それはエンジニアリング視点のイノベーションよりも、マーケティング=ヒト視点のデザインイノベーションンの方が、小さな企業にとって仕掛け易いということです。その理由はまた次回に種明かしをして行きます。

只今、金沢に向かう「かがやき」車中。左に立山連邦、右に富山湾。冬の絶景です!

「3×4」のルーツ2

2017年01月24日 19:11

クルーがデザインメソッドに拘る理由

さて、クルーがなぜ「3×4」にこれだけ情熱をかけて、拘り、改善を重ね、「みんなのデザイン」を追求するのか?ちょっと横道にそれますがお話をしてみたいと思います。それは私が自動車会社のデザイナーだったころに起因します。何所にでもある日本製造業の姿だと思います。


ジムニー


技術管理部門が企画から製造の手順(事業ではなく開発フローです)を定めます。企画は他社製品を横目で見ながら時間軸でコストをベースに製品開発計画をつくります。設計はエンジニアリングスタンダードを規定し標準化設計に邁進します。生産技術は購買と強く結びつきQCDを追求します。デザインは企画から降りてくる基本仕様をもとに、設計と擦り合わせ、生産技術上やラインの条件に配慮し駄目出しをくらいながら何とかオリジナルのカタチを模索します。


同じ棟で壁を隔てた研究開発部門が良くわからないことをやっています。さらに塀の向こうの別棟で、違う色の制服や背広を着た人が上層で絡みます。たまにお会いする経営層が何か仰います。そんなことでモデルチェンジが繰り返され製品がラインオフしていきます。売れた!売れない・・・一喜一憂します。

振り返ってみていまだに、みんなが理解し相乗りできるデザイン(事業構想)メソッドがあったのか?良く分かりません。だから、小さな企業が良いデザインをして良いビジネスをするためのメソッドを創りたかった!これが動機です。迷いのないデザインをどんどん提案しているM社は何がどう変わったのか?それを支えるメソッドを知りたいと思います。


3代目でものづくりのメソッド「3×4」が完成しました


クルーがご提案した「L・M・P」デザインメソッドが丁度2000年にヒト・モノ・バを開発3要素とする「3×4」商品開発プログラムに生まれ変わります。私が中小企業大学校の登録研修指導員だった頃に、中小企業が使える標準的な開発メソッドを創ろうという機運が芽生えたのです。それは、家具や伝統工芸産業の応援のためのカタチをつくるデザインが終焉を迎え、デザインを商品開発として企業の生産価値を向上させたいと願う社会の要請からでした。それが「3×4」デザインプログラムの原型になって行きます。

初代「3×4」オペレーションマップ
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汎用性の高い「L・M・P」デザインメソッドをベースとして、そこにマーケティングの専門家、技術士、デザイナー、中小企業診断士の知恵と経験を集結しました。これは2001年に明日香出版社の「<ヒット!>商品開発バイブル」として上梓され、現在では13刷りを重ね今でも多くの企業の商品開発手引書として愛用されています。


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みんなが使う知的資産を大切に扱うべきだと考え、デザイン会社ではおそらく初だと思いますが、無形資産である「3×4」の商標登録も行いました。製造業と同じように、デザイン会社にも自社商品がある!それは「3×4」なのです。こんな観点からも製造業の商品開発を考えて行きたいと思います。


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つづく