fc2ブログ

「モ・コ」と「ナガレ」の効果のほどは?

2018年02月06日 16:06

今日は神戸で初めて実施した「3×4」の開発3要素「ヒト・モノ・バ」をリ・ニューアルした「モ・コ」と「ナガレ」の効果のほどをご案内します。

元気ブログ読者のみなさんは、21017神戸ものづくりイノベーション研修「ケミカルシューズがつくる神戸の○○な暮らしデザイン」についてはご承知だと思います。生活を一変させるイノベーションのためには、優れた製品開発だけでは“そこに”届かないために、モノがつくるコト=体験の「モ・コ」開発と、「モ・コ」と出会う感動バの体験=「ナガレ」開発が欠かせないことが前程です。

下図は、モノにコトを添えた「モ・コ」構想と、買われて行くミチスジを発想する「ナガレ」構想を表しています。
hitomokonagare.jpg
“位置情報がとれる靴”というGPS機能がついたシューズ「モノ」の発想がでました工業化社会の商品開発であれば、ものづくり(製造業)が主導する製品開発から入る順番で合格です。後は、さらにどんな靴の構造で、どんな機能を持たせて・・・と、機能開発となりますが、これではイノベーションがおきにくいので、この研修ではモノの開発は後回し、「モ・コ」開発と「ナガレ」開発のセット構想を最初にやってもらいます、

こんな具合です。

→GPSシューズが創る「コト」開発とは?
・・・神戸に土地勘のないゲストでも、特別な準備をせずに遊び(仕事)来ても、ストレスなく神戸を隅々まで楽しめる「GPS情報を活かした体験型観光事業」を構想しよう!

※イノベーションは、こんな「体験型観光事業」を起こしたいから、「GPSシューズ」というデバイスをを開発するのだ!という発想の順番が起こし易い!

→GPSシューズの売り場開発とは?
・・・間違っても、販売を靴売り場に任せる!などと既存流通に頼る考えは止めて、コトの価値をさらに向上させ買われて行く「ナガレ」を開発しよう!
・・・対象者が神戸に出入りするあらゆるポイント(関所=駅・港・空港・街の入口・案内所)に置いて、ご利益を紹介し自然に使いたくなる「流通販売のミチスジ」を構想する。

その結果、ケミカルシューズ製造と卸売りと小売りを縛る鎖を断ち切り、「楽しく神戸を闊歩することを応援する産業」が生まれるのです。これは地域や小さな企業でもできる!見事なイノベーションではないでしょうか?

20180126_003.jpg

結果、GPSシューズという「モノ」が内在するはたらきを十二分に活用することで、新たな使用体験という「コト」と、新規流通販売事業を一体化した「ビジネスモデル」をデザインすることとなります。それは、シューズという製品意匠をデザインする名詞デザインから、製品が生み出す素敵な体験と買われて行く道筋を創造する「動詞デザイン」への大転換です。

この思考に転換できない人の共通項は!ブレイクスルー時点で、「できるだろうか・・・?」を先に考える生真面目さです。うまく行く人は、「現実化だって?そんなものは後から考えれば良いさ」・・・などとどれだけ「ぶっとんだ発想」ができるか!に集中できる人です。現実化は後からブレイクダウンすれば良い。他人事のように無責任さを持つことです。

とりあえず実験は成功!・・・かな?

スポンサーサイト



手描きのイノベーション構想(妄想)「イロハのイ」

2018年01月25日 12:21

みなさんは商品や事業開発の、最初の一手をどんなふうに「描き」始めますか?

今日は馬場が日常的に行っている企画の「イロハのイ」を開陳します。それは手描きの妄想図です。興に乗って書いた文字は学生から「先生、板書が判読不能です!」と言われます。しかし、弊社のスタッフは書いた私でも分からない文字を解読してくれます。それは文字の解読というより、情報の全体像を画像で認識するというイメージです。速読で用いるフォトリーディング技法のようなものかもしれませんね。

前回ブログでアップした、「3×4」の新しい開発3要素=「ヒト」「モ・コ」「ナガレ」を使って、試しに神戸の研修事業の妄想素材を20分で描いてみました。描いてみて「モノ」→「モ・コ」と「バ」→「ナガレ」の変更は、ダイナミックな発想を助けてくれるという印象を持ちましたよ。結構行けます(笑)。

genki8_mousou.png
クリックで大きくなります

受け止めるフレームさえしっかりしていれば、矛盾する中身をとりあえず吐き出しても心配は有りません。構想を阻害するのは「整理された中身にしよう」とするあまり、発想を萎縮させてしまうことです。妄想は構想の立派な下敷きです。だから情熱で突っ走ってもいいのです。ただし!冷静さ取り戻し実現可能な構想にする手順が必用です。

妄想を暴走させる→外に見える化する→冷静に実現可能な構想に仕立てる

そんな時には手書きがベスト!PCを使って作業をすると、創作中に邪念(過去の成功や失敗そして他社の動向、上司やクライアントの評価)が入り、思考の速度に表現が追いついて行かず、出来上がった図版は綺麗なものの、あれっ、こんな優等生の誰でも知っていることを書きたかったんだっけ?」となってしまいます。これを上手くやる秘訣は、「勢い」です。筆に墨をタップリ含ませて、一気に思いを白い紙に注ぎ込む書道のようなものですね。これをワードや特にアタマの硬いエクセルなんかでやってしまっては、元も子もありません。

ともあれ神戸のみなさん!明日のブレイクスルーに向かい、十分な妄想と構想を繰り返しましたか?
■「ヒト」のリアルなインサイトに迫ることができていますか?
■「モノとコト」が相乗効果を生む「ご利益」の発想ができていますか?
■地元企業と地域の力で新しいビジネスの「ナガレ」を構想できていますか?

見たことも聞いたことない新しい事象を構想した!本当にできるの?これってヤバいんじゃない?など物議を醸す構想をした!でも、大丈夫、そんな不安を払拭し現実化できる手の内がある!この3つをご一緒に確認しながら創作して行きましょう!!

「3×4」のルーツ 1

2017年01月23日 15:21

昨年末から再開した「元気な企業を創るデザイン」は、新テーマである「デザインの解放」と銘打って今日で17回目を迎えました。再開の第一弾は「神戸ものづくり塾」シリーズでしたが、塾も元気に立ち上がりホッと一息ついています。今日からちょっと指向を変えて、デザインの解放の中核を為す「3×4」のルーツを辿ってみます。


「3×4」のルーツ

今日は、<「3×4」クロス・デザインマネジメント>「3×4」の源流に遡り、進化の足跡を辿ってまいりましょう。長いおつきあいのクライアントさんや、1990年代に中小企業大学校の講義を受けていただいた方々にとって、懐かしいロードマップに再会することになると思います。僕が知っている「プラレール」のロゴや、「グリコ」のトレードマークはこれだった!などと同様に、「3×4」の細かな違いを発見し、その進化のプロセスを楽しんでください。


「3×4」の原型は「L・M・P」デザインメソッド

この当時は開発要素であるヒト・モノ・バを、LMP(Life・Market・ Product)と呼び、4ステップをSTAGE4と表していました。1996年12月には、通産省の委託を受けた(財)国際デザイン交流協会のお世話でタイはバンコクに行き、国営企業の開発責任者や大学教授のみなさんに、グッドデザインの紹介と共に、弊社の「L・M・P」デザインメソッドによる開発手法のレクチャーをしました。この出来事は、言ってみれば日本からアジアへのデザイン思考と手法の輸出です(笑)


thai1.jpg


しかし、今、またぞろこの国は、オープンイノベーションを成し遂げたアメリカのデザインシンキングを有り難く押し頂いています。複雑な想いをしています。今更ながらですが、これからの日本は、工業製品だけでなく、もっともっと自信を持って知識の輸出をすべきだと思います。そのことについてはいずれしっかり書いてみたいと思います。


zu_lmp.jpg
画像クリックで拡大します

thai2.jpg


2世代目は「タイムトンネル」スタイル

20世紀末、1999年9月にはベトナムに出向き、同様の事業に加え個別企業の商品開発指導をすることになります。その時のデザインオペレーションマップは、「タイムトンネル」と呼んでいました、「タイムトンネル」とはアメリカから輸入したテレビ番組のタイトルで、これを私のご同輩は良くご存知だと思います。楕円形で渦巻きパターンのトンネルを通じて、若い二人の男性が、過去と未来を自由に行き来し問題を解決して行くSF冒険番組です。それと同じように、発想力によって時空を超え「新しい解決策を創作する」という意気込みを持ってデザインしたのです。


timetunnel_J.jpg
画像クリックで拡大します

vietnam1.jpg


当時は、開発3要素を多少気取って「L・M・P」などと定義していましたが、生活者(Life)へのご利益達成のために、市場(Market)と製品(Product)を同時に開発する思想は、現在のデザイン3要素であるヒト・モノ・バとまったく同質です。しかも、デザイン活躍の場を、開発部門の下請けに置くのではなく、ビジネス全体の領域で使えるように意図したのも、今にしてみたらとても革新的だったと思います。


vietnam2.jpg


次回から、少しずつ進化して行く「3×4」オペレーションマップの進化プロセスを辿りながら、デザイン役割と時代の変化を観察して行きたいと思います。あなたに受けていただいたた研修や、開発のオペレーションマップと出会って、足跡を辿るのも興味深いと思います。お楽しみに!
[ 続きを読む ]