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ブレイクスルーとブレイクダウンの「アイダ・間」

2018年01月18日 17:05

ブレイクスルーとブレイクダウンの「アイダ・間」に何かあるでしょ?

ブレイクスルーでカフェになるタンブラーを発想し、ブレイクダウンでスター、サポート、アイドルという3つの具体的アイデアに現実化する。(過去記事参照

「なるほど!突拍子もないぶっ飛んだブレイクスルーと思ったけど、ちゃんと現実の商品案になるんだ!」

と納得されたと思います。しかし!それじゃ、スルーとダウンの「間」はどうなっているんだろ!?きっと「知りたいさん」「教えてさん」は疑問に思っていますよね(笑)。そこは、日藝をはじめ栃木や神戸の研修で手法を明らかにしていて、みんな辛い(笑)演習を重ね、雲間から抜けて青空を仰ぐ「爽快感」を味わっていただいているんですよ。でも特別にちょっとだけ中身を開いて教えします。

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それはこんな具合・・・ブレイクスルーはこうでした。

職場の休憩時間をたちまちお気に入り「カフェ空間」にしてくれるタンブラー
ここでいうブレイクスルーの肝は?そうですね “お気に入り「カフェ空間」” です。対象者にとってのカフェとは、どうなっていると良いの?と問い掛けましょう。

■カフェって、その日の気分で好きな飲み物や食べ物を注文できる・・・。
→そうか!マイタンブラーだから好きなものを自分で仕込み持って行けば良いんだ!
■カフェの楽しさは・・・飲みものにあったカップや食器で提供されるよね・・・。
→そうか!肉薄や肉厚のカップや径の異なるカップで味が変わるぞ。わかったTap(飲み口)チェンジで行けるぞ!
■カフェには独特(ハーブやコーヒー)の良い香りが漂っていて自宅とは違う・・・。
→そうか!タンブラーやコンビニコーヒーの味気ないのは、香りが立たないからだ!香り専用の窓を付ければ良いのか!

如何ですか!「特別な魔法」は何もないでしょう!?

魔法があるとしたら、日頃の観察力と、見知ったことを記憶にと止め、必用な時に引き出せる、自分なりの引き出しや紐付けができること!たったこれだけです。

でも、もう一つ「秘密の奥義」があるのです(笑)

それは、クルーの開発OS<「3×4」クロス・デザインマネジメント>に組み込まれた、アプリケーション。ブレイクスルー&ブレイクダウンテキストとワークシートです。

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さあ、神戸のみなさん!ご準備はよろしいですか?

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抽象化の面白さと奥深さ

2017年11月28日 13:51

このブログでは、イノベーションを起こすために課題=デザインの対象を「抽象化」して捉えることの重要性を述べています。つまり、「抽象化」とは課題の「本質」を見極めることに通じるからです。それ為しには、絶対にイノベーションなど起こせないのです。

「本質」の把握・・・などと言われると思わず身構えてしまいますよね。実は、その「本質」をカンタンに把握する方法が「抽象化表現」なのです。これは案外、奥深い思考が必用なのですが、コツを一つお教えしますね。

「抽象化」には二つあることを知ってください。

一つ目が、対象物が誕生した時に持って生まれた、「物財」としての「はたらき」です。これは「モノ」に装備させた「基本機能」と言ってもいいでしょうね。

例えば洗濯機が世に出たときの「物財」としての「はたらき」を抽象表現すると、こんな表現になります。

「洗濯対象物の汚れを水の撹拌によって落とす装置」

つまり洗濯機をいう「名詞」を使わずに、そのものの機能を説明する表現のことです。これはVE(価値設計)の入口で使う表現手法でもありますね。(VEについては後日お話をします)。どちらかというとエンジニアリング視点です。ここでメカの本質が見えてきて、「代替メカ案」が浮かびそうな予感がすれば、技術主導のイノベーションの入口に立っていることになりますよ!ダイソンさんみたいにね(笑)

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写真出典:http://poyoland.jugem.jp/?eid=702&guid=ON&view=mobile&tid=6

二つ目が、ユーザー視点で見て、「物財」が与えてくれるベネフィット=ご利益を抽象表現したものです。こんなふうになります。

「洗濯物を投げ込めば勝手に洗濯をしてくれて、足腰の痛みや冬の辛い水仕事からお母さんを解放してくれるお手伝いさん」

これはマーケティング視点の抽象化ですね。それも洗濯機が発売され昭和の「抽象化」です。今日の洗濯乾燥機は???さあ、どんなはたらきの抽象化ができるでしょうか?ここでも、新時代のユーザーさんに対して、「新しいお役立ち案」が浮かんでくれば、マーケティングでイノベーションが起こせますよ!今度はアップルさんみたいにね。

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写真出典:http://poyoland.jugem.jp/?eid=702&guid=ON&view=mobile&tid=6

ここで一つ大切な気付きを!
それはエンジニアリング視点のイノベーションよりも、マーケティング=ヒト視点のデザインイノベーションンの方が、小さな企業にとって仕掛け易いということです。その理由はまた次回に種明かしをして行きます。

只今、金沢に向かう「かがやき」車中。左に立山連邦、右に富山湾。冬の絶景です!

デザインの「解放」神戸ものづくり塾 プレ講座 7

2017年01月18日 08:00

ここまで小さな企業が、「良いビジネス=商い」を立ち上げるために、<「3×4」クロス・デザインマネジメント>のステップ1と2をシミュレーションし、自社優位な開発の基盤を創るデザインの手法を説明してきました。明日から始まる「神戸ものづくり塾」で良いスタートを切っていただくために、今までのステップの「まとめ」をしておきたいと思います。最初に「良い商い」の進め方を確認しましょう。

良い商いの道筋は!
「今ある市場」から「自分が創る市場」へ向かうこと!

<「3×4」クロス・デザインマネジメント>のステップ1は、「良い商い」を始めるために「三題小噺を」創りました。それは、誰にも邪魔されず、自社が長期にわたり、主体的な商いができる「商いの儲け話」の基本構想のことでした。

そうなると商いの基本姿勢とは?
売れ筋商品がひしめき合う「今ある市場」でビジネスをするのではなく、誰の商品とも競合しない、「自分が創る新市場」へ「離脱」することが必須となります。
デザインの進化
画像クリックで拡大します

「我田引水ビジネス」ならぬ「新田○○ビジネス」!?

「自分が創る新市場」とは、今は誰も関心を示さない商いの分野ですが、自分が未開のマーケット(新田)を開墾することです。しかし、開墾しただけで市場が育たないので、耕した田畑に“陽を当てて水や肥やしを与える”ことが必要です。この行為は、既存市場にある自分の田畑に、他者を差し置いても多くの水を引く「我田引水ビジネス」ならぬ「新田○○ビジネス」とも言えるのではないでしょうか?さあこの○○に相応しい行為とは何でしょうか?

「新田」の開発は、<「3×4」クロス・デザインマネジメント>のステップ1で説明した、商いの「三題小噺」で可能になるとして、そこに、「引水」のように、“陽を当てて水や肥やしを与える”という行為とはどんな活動でしょうか?「三題小噺」創りでは、自社の「得意技術」やビジネスで得た「知識」を活用しました。一般的にはそれを「自社シーズ=自社の強み」の活用といいます。それを「3×4」らしく「新田○○ビジネス」に当てはめると、○○とは、養分をタップリ含んだ「知識の水=知水」と定義してみます。

「我田引水ビジネス」ならぬ「新田知水ビジネス」

仮説 中小企業の良いビジネスは、自社の「知的資産」という「知水」を新田に引き込み、豊かな実りを得る!・・・「我田引水ビジネス」ならぬ「新田知水ビジネス」としては如何でしょうか?

「我田引水」は、本来あまり好ましくない意味を持った熟語ですが、「新田知水」であれば、誰からも咎められず迷惑もかけない、むしろ率先して新たなマーケットを生み出し、産業界に貢献する姿勢だと思います。これからの中小企業のビジネスは「新田知水ビジネス」であれ!という仮説を据えて話しを進めて行きます。

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画像クリックで拡大します

「新田知水ビジネス」のすすめ

<「3×4」クロス・デザインマネジメント>が言いたかったことは、中小企業のデザイン戦略(商いの構想づくり)は、他者と戦わない戦い方を考えること!自分が持っている資産を活かして、自分が「良い商い」ができる市場を創造することでした。それが「新田知水ビジネス」です。

■神戸の研修に興味のある方は下記へご相談ください
神戸市経済観光局 経済部 工業課
e-mail : kogyoka@office.city.kobe.lg.jp

ワカルデザイン

2017年01月06日 11:00

クルーのデザインテキスト「ワカルデザイン」の「はじめに」では、こんな書き出しで始まっています。

デザインは素晴らしい!

更に、次のように書き進められています。

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大企業の「お下がりデザイン」では身の丈に合いっこない!
デザイナー以外の方々が、デザインをいつまでも「ワカラナイ、ツカエナイ」と仰る理由は明白です。それは大企業のデザイン手法を、そのまま「お下がり」で受け渡そう、受け取ろうとしているからです。大企業が開発してきたデザイン手法は、開発部門に住むデザイナーの技法なのですから、事業全体で創作活動を展開しなければならない中小企業には、文字通り「帯に短し襷に長し」に決まっています。

「ワカラナイ、ツカエナイ」こういう中小企業が問題なのではなくて、私たちデザインスペシャリストが解決しなければならないの「課題」だと思うのです。だからこそ、長い間、中小企業の経営者とビジネスの苦楽を共にさせていただいた者として、デザインをみんなが「ワカル、ツカエル」ように仕立て直してから「解放」しようと考えたのです。結果的それが「みんなのデザイン」になればとても嬉しく思います。

みんなのデザイン
テキスト「ワカルデザイン」より抜粋

デザインスペシャリストの役割と決意を表すとこんなメッセージになりました。

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テキスト「ワカルデザイン」より抜粋

現場で鍛えられた「3×4」は「商いのデザイン」
事業の川上から降りてきた企画案を、技術と協力し「人の心を揺さぶる美しいスタイリングに表現する日本の技法」は、世界最高レベルで素晴らしいと思います。しかし、中小企業のビジネス価値を向上させるためには、大企業のデザイン思考と技法だけではとても間に合いません。

中小企業に今!必要なデザインとは、事業プロセスの全領域で機能させなければならない、価値創造思考であり手法だからです。そのためには、事業プロセスとぴったり並走できる「伴走者のようなデザインのシステム」が必要なのです。事業川上から川下を「縦」に一気通貫し、専門家の仕事を「横」に繋ぐデザインメソッドは私の知る限りありません。

中小企業に必要なのは、ビジネスのネタづくりから、開発テーマづくり、そして商品企画から売れて行く市場づくりへと、途切れることなく構想し続けることができる「商いのデザイン」なのです。

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テキスト「ワカルデザイン」より抜粋

週明けからは、終盤を迎える栃木県の商品開発研修プレゼン。「神戸ものづくり塾」のプレ研修の連載。そして弘前地域研究所の「売れて行く商品開発」のレポートをお伝えしたいと思います。

■神戸の研修に興味のある方は下記へご相談ください
神戸市経済観光局 経済部 工業課
e-mail : kogyoka@office.city.kobe.lg.jp

技術そのものが時代を切り開いた時代

2011年08月23日 11:57

今日は、燕三条地場産センター主催の商品開発指導へ向かうために、「Maxとき」の車中でこの原稿を書いています。

新幹線の示すものは
昨日は結果的に1時間遅れで山形入りとなりました。まあ、こんなことがあったとしても、新幹線が戦後日本の最大ヒット商品であることには変わりません。戦後の復興、そして高度成長の弾みにすべく、東京オリンピックの開催に合わせ、世界銀行の融資を受け開業できた「SHINKANSEN」。48世代的(団塊世代)に言えば、それは東京タワーに次ぐ快挙!でした。

それが今、世界に打って出るだけの商品力があるのか?否!

「新幹線」という高速移動システムの価値を、売り込み対象国に対して、説得できるかどうか?

「SHIKANSEN」が文字通り国際商品になりうるのか?

日本だけの地域商品で終わるのか?

これが日本のものづくりの考え方に、大きくな影響を与えるだろうと僕は考えています。

Travel for west JAPAN 2008
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技術そのものが時代を切り開いていた
本田宗一郎さんの本はたくさん読みましたが、日曜日のあるTV番組を見て、あらためて感じたことがありました。番組の題材は、宗一郎さんが技術屋として指揮した仕事の顛末を通じて、創業者の理想をつなぐ組織、それを新技術で開花させて行く物語です。

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この背景をご存知の方は多いと思います。技術屋さんとしての晩年、空冷方式にこだわった宗一郎さんの思想で開発したホンダ・1300が失敗します。個人的には大好きな車でした。

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オールアルミエンジン・ドライサンプ方式・F1マシン(RA302) からのフィードバックによるDDACなど見所は多いエンジンルーム

その後世界の技術は、環境対策というテーマに向かい大きく転舵します。例の排出ガスを規制した「マスキー法」です。世界中の自動車メーカーが「そんな数値はクリアできるはずがない」と言いながら、マフラーの触媒で一時をやりすごし、抜本的な解決策を講じるために懸命になる中、ホンダの「シビック」が世界で初めてその数値をクリアします。まさに日本そのものの創意工夫と技術の勝利でした。



日本全体が若々しい活力で漲っていた時代です。でも、僕はそのころ鈴木自動車で、環境対応4サイクルエンジン開発が、遅々として進まない状況に、デザイナーとして焦りを感じていたことを思い出します。一時エピックエンジンシステムという希薄燃焼の論理を発表して{スズキが一番のりか!?}と、話題になった時もありました。

宗一郎さんがスパナを置く時
そんなシビックの開発も決して順風満帆ではなく、社内でもっと根本的な問題が起こっていたようでした。ホンダでは、宗一郎さんが技術屋さんとして最後の奮闘をしていた時でした。若いエンジニアが主張する水冷方式を決して許さず、自ら陣頭に立ち空冷エンジンで環境適合車を開発していたさなかのエピソードです。女房役として付き添ってきた藤沢武雄さんの一言が決め手になりました。

「あなたは社長として残るのか、それとも技術屋として残るのか、それを決めるべきだ」

つづく